株式投資のプロが全世界株式「オルカン」を“解約”した納得の理由 未来を見据えた「積み立て投資」の最適解とは
私の考える「つみたて投資の最適解」
結果として、私の考える「つみたて投資の最適解」は次の通りになります。 (1)世界経済を牽引する米国のグローバル企業の集合体である「S&P500」 (2)人々の生活を変えてくれるイノベーション企業の指数である「ナスダック100」 (3)長期的に先進国よりも高い経済成長が期待できる「新興国」 上記3つのテーマの投資信託に1/3ずつ集中投資することで、将来のより高い成長の恩恵を積極的に取りにいくことになります。その結果、オルカンのリターンを長期的に上回ることができると考えるのです。 私はこの3つのテーマ投資を、S&P500の「S」、ナスダック100の「N」、エマージングマーケット(新興国)の「E」の頭文字をとり「SNE指数」と呼んでいます。1999年からこれまでの「MSCIオールカントリー指数」と「SNE指数」を比べると、後者の方が約1.5倍高いパフォーマンスを出していることが分かります(註:デイリー新潮サイトにグラフがあります)。 SNE指数のリスクについても触れておきたいと思います。そもそもテクノロジーセクターのウエイトの高いS&P500に加え、ナスダック100にも1/3投資をするため、必然的にテクノロジーセクターへの配分が高くなります。そのため、SNE指数は一時的にボラティリティ(価格変動)が高くなり、株価が乱高下しやすくなります。 また、新興国についても先進国と比べると、ボラティリティが高い傾向にあります。通貨危機や、最近のインドやメキシコの例のように、選挙の結果で大きく株価が下がることも少なくありません。 ただ、それらは高いリターンの裏返しでもあります。実際のところ、ナスダック100は、1999年末からこれまでS&P500のリターンを大きく上回ってきました。これから先、オルカンのリターンも上回ってくると考えます。 新興国株の特徴として、これまでドル安の時にオルカンやS&P500のリターンを上回る局面が見られました。もし今後、世界的なドル高基調が終わった際、新興国株のリターンは先進国のリターンを上回ると見ています。また、新興国株は配当利回りが最も高く、先進国株の下落時のリスクヘッジの役割も担ってくれます。 「SNE指数」への積立投資は、今後の世界の経済成長を長期的な視点で捉え、積極的にそのリターンを取りにいくことができる投資戦略です。“オルカン”がバックミラーを見ながらの投資だとすれば、“SNE指数”はフロントガラスに映る景色に投資する戦略だと言えるかも知れません。
岡元兵八郎 マネックス証券の専門役員。専門である外国株のチーフ・外国株コンサルタントのほか、マネックス・ユニバーシティ投資教育機関のシニアフェローも務める。元Citigroup/米ソロモンブラザーズ証券のマネージング・ディレクター。外国株に30年以上携わるプロフェッショナルで、関わった海外の株式市場は世界54カ国を数える。海外訪問国は80カ国を超える。米国株はもちろんのこと、新興国の株式事情にも精通している。ニックネームは「ハッチ」。Xアカウント名 @heihachiro888 デイリー新潮編集部
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