もうG7はオワコン!? 「BRICS時代」に日本はどう生き残るべきなのか?
今年10月にロシアの主催で開催された「第16回BRICS首脳会議」。白熱のアメリカ大統領選挙の裏で、国際社会の勢力図が変わろうとしていた。経済成長が頭打ちのG7に取って代わり人口も経済も成長が著しいBRICSが世界を掌握する。今回の首脳会談は、そんなBRICS時代の幕開けを告げた。新しい国際情勢の中、日本はどうする? 【地図】拡大するBRICSの加盟国&パートナー国 * * * ■ロシアは国際社会で孤立していない アメリカ大統領選挙により人々の関心が日米関係に集中していた裏で、今後の国際情勢や日本の将来を考える上で非常に重要なイベントが行なわれていたことはあまり知られていない。10月22~24日にロシア中部のカザンで開催された「第16回BRICS首脳会議(サミット)」だ。 今回は、発足初期からの加盟国であるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国に、新規加盟国のイラン、エチオピア、エジプト、UAE(アラブ首長国連邦)を加えた9ヵ国による「拡大BRICS」として開催された初のサミットで、計36ヵ国の代表と国連のグテーレス事務総長も参加した。 欧米先進国に日本を加えたG7に対抗する新興国勢力として、BRICSの影響力が拡大していることを強く印象づけた。 「今回のBRICS首脳会議は主に3つの点で重要な意味を持っています。キーワードは『ロシア』『拡大』、そして『脱ドル化』です」と語るのは、国際政治学者で東京外国語大学教授の篠田英朗氏だ。 「まず『ロシア』ですが、今回の主催国がロシアだったことは非常に大きい。ご存じのように、ロシアはウクライナ侵攻の当事国として、欧米諸国を中心とした経済制裁の対象であり、プーチン大統領は国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状まで出ている『戦争犯罪人』でもあるわけです。 ところが、そのロシアが主催した今回のサミットに計36ヵ国の代表が参加した。その事実が、ロシアのウクライナ侵攻後、欧米が目指してきた『ロシアの国際社会における孤立』が幻想でしかなかったことを示しています」 ただし、それも新興国の立場に立って考えれば当然の流れだという。 「2022年のウクライナ侵攻開始当初こそ、ロシアに対する強い非難の声が上がり、国連総会でも141ヵ国が非難決議案に賛成しました。 しかし、その後、欧米諸国によるロシアへの制裁が長引くにつれてエネルギーや食料の価格が高騰し、インフレを引き起こした。そして、その影響を強烈に受けたのは、ほかならぬ新興国の人々でした。 また、そうした国々は、ロシアを散々〝悪魔化〟し、ウクライナに軍事支援を続けてきたアメリカなどの欧米諸国が、中東で続くイスラエルの戦争犯罪をまったく止められないという『欧米先進国のダブルスタンダード』を見透かしていますから、もはや彼らが振りかざす正義など信用していません。 そもそも、制裁に加わっているのはしょせん、アメリカの同盟国だけ。それでロシアを完全に孤立させることなど不可能で、逆にエネルギーや食料などの資源に恵まれたロシアと新興国との結びつきを強めてしまったともいえる。 結果、今回のサミットは、プーチンにとって『ロシアは国際社会で孤立していない』とアピールする格好の舞台となったのです」