【社説】韓国憲政史初の大統領逮捕状請求、自業自得だ
警察と高位公職者犯罪捜査処(公捜処)、国防部調査本部で構成された合同捜査本部が昨日、ソウル西部地裁に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状と捜索令状を請求したと明らかにした。尹大統領には12・3非常戒厳事態に関連した内乱首謀、職権乱用の容疑などが適用された。職務停止中ではあるものの現職大統領に逮捕状が請求された事実だけでも惨めで恥ずかしい心情を禁じ得ない。捜査機関が現職大統領を逮捕すると裁判所に令状を請求したのは、韓国憲政史で初めてのことであり、世界的にも極めて異例だ。産業化と民主化を共に成就した世界10位圏の経済大国を自負してきた全国家的な地位にも大きな傷になるしかない。 事態がこのように悪化したのは尹大統領の自業自得と言わざるを得ない。検察が金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官と主要軍指揮官を捜査する過程で確保した被疑者の陳述はあまりにも衝撃的であり言葉を失うほどだ。非常戒厳当時、尹大統領は国会周辺で現場を指揮中だった李鎮遇(イ・ジンウ)前首都防衛司令官に電話をかけ「銃を撃っでも門を壊して入って(国会議員を)引っ張り出せ」と指示したと、検察は明らかにした。「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」にする戒厳を突然宣言したのもそうだが、軍兵力を投入して憲法機関の国会を無力化しようとしたのは民主主義の根幹を害する重大な反憲法的な行為だった。しかも国会で銃器の使用と発砲まで指示したのが事実なら決して容認できないことだ。現場指揮官が慎重に対処して銃器使用などによる人命被害がなかったのは本当に幸いだ。 その間、尹大統領は3回にわたる公捜処の召喚調査要求に応じなかった。尹大統領が自ら強制捜査が避けられないという名分を提供した。刑事訴訟法は被疑者が正当な理由なく出頭要求に応じない場合、裁判所から逮捕状の発付を受け、被疑者の身辺を確保することができると規定している。尹大統領側の尹甲根(ユン・ガプクン)弁護士は昨日、金洪一(キム・ホンイル)前放送通信委員長と共に弁護人選任届を出しながら「公捜処は内乱罪に対する捜査権がない」という主張を繰り返した。そして「警察の召喚調査には応じるのか」という記者らの質問にはまともに答えなかった。 憲法11条1項は「すべての国民は法の前で平等」と規定している。法治主義国家である大韓民国では大統領であれ誰であっても法秩序の例外にならない。すでに「法的・政治的責任を避けない」と約束した尹大統領がこれ以上捜査を避けず積極的に応じることを望む。裁判所が合法的に発行した逮捕状なら尹大統領は拒否する名分もなく、拒否してもならない。捜査機関の正当な公権力執行を大統領警護処や支持者が物理力で阻むような不祥事が生じないことを願う。