山陰合銀、金利復活で国債投資に回帰へ-悩みは松江での専門人材確保
(ブルームバーグ): 島根・鳥取の両県を地盤とする山陰合同銀行は、金利上昇を見据えて日本国債中心の有価証券運用に回帰する方針だ。本業の一つと位置付ける市場部門で安定的な収益確保を狙う。
「有価証券部門は非常に難しい状況だった」。好調な貸し出しビジネスが寄与し、前期(2024年3月期)の連結純利益は168億円と3期連続で過去最高益を更新したものの、山崎徹頭取は有価証券ポートフォリオの再構築を大きな課題に挙げる。
2022年に始まった米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを契機とした外貨調達コストの急激な上昇で、他の地銀と同様に保有する外国債券の収益性が悪化。欧米の国債を中心に過去2年間で6600億円相当を処分し、400億円の売却損計上を迫られた。
日本銀行が追加利上げの幅や時期を探る局面に入り、国内金利の上昇が見込まれる中、地銀の有価証券運用がどのように変化するかは市場の注目点の一つだ。特に債券運用においては、金融政策正常化の一環として購入減額を打ち出した日銀に代わる国債の買い手としての期待もある。
松江市内の本店でのインタビューで山崎頭取は「国債が買えないので米国債を買った訳で、国債が買えるならば、われわれのような地銀はそちらの方が良い」と述べた。
3月末時点の有価証券残高は1兆6200億円。かつて1兆円規模あった国債などの国内金利資産は約7000億円と全体の半分を割り込んだ。今期からの3年間で有価証券残高を2兆円にまで回復させる計画で、運用の中心に安全資産とされる日本国債を据える。
足元では「円金利の居所が定まっていない」と指摘。長短の為替ベーシス(上乗せ金利)の差を収益とする為替ベーシスファンドや、変動金利と固定金利を交換するアセットスワップなどを通じ、金利リスクを抑えた投資を行っている。今後、時機を逃さず、金利が一定水準に達する前に国債への投資を徐々に進めていく考えを示した。