なぜ日本人はインバウンドに褒められたいのか…日本はそんなに「いい国」なの?
日本の街が、風景が、文化が、おもてなしが素晴らしい! インバウンドが礼賛してくれるネットニュースやテレビ番組は「バズりやすいですよね。来日して驚いたヨ、自分の国にはこんなのないヨ──というのが定番ですけど、根強い人気があります」(番組制作会社関係者)。 「ホテル暮らし」20代女子が1年間の支出報告 インフレ直撃でも昨年より宿泊費が安価な理由 先月、東洋経済オンラインが〈「世界で最もクール」に選ばれた日本唯一の街 “未開発地帯”学芸大学が魅力的な納得理由〉と報じて話題になっていたが、外国人のおかげで日本の良さに気づかされるというプラスの面もある。 単純に、褒められて悪い気はしないが、もちろん、ネガティブな意見もある。観光庁の「訪日外国人旅行者の受入環境」に関する最新の調査によると、旅行中に「困った」という回答で最も多い項目は「ごみ箱の少なさ」で、30.1%。2位は「施設等のスタッフとのコミュニケーション」の22.5%で、次が「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」(13.4%)。“言葉の壁”は高いようだ。 ちなみに、上位2項目は前回2019年度調査よりそれぞれ5ポイント以上も増加し、旅行中「困ったことはなかった」と回答した割合は29.7%と、前回調査の38.6%から10ポイント近くダウン。 つまり礼賛だけじゃなく、不満も増加しているというわけ。英語ペラペラの東京・銀座のバーテンダーがこう明かす。 ■ベロベロに酔えるほど治安がいい 「日本のウイスキーが格安で飲めてうれしいというインバウンドのお客も多いんですけど、ベロベロに酔っている日本人について〈なぜ? 大人がみっともない〉と指摘されたり……〈それだけ治安がいいのかな〉なんて皮肉も言われます」 それにしてもなぜ、日本人はそんなに褒められたがるのか。明大講師の関修氏(心理学)は「とりわけ昭和世代は、意外と海外から褒められることに慣れていないんですよ」と、こう続ける。 「これまで経済成長や勤勉性を称賛されることはありましたが、その一方で〈エコノミックアニマル〉と揶揄された過去の記憶も……それが漫画やアニメの影響で、ようやく経済以外も褒められるようになってきた。欧米のカルチャーばかり追い求めてきた昭和世代にとって、肝心の日本経済に陰りが見えてきたこともあって、褒められることが癒やしになっているのかも。もっと若い世代は素直に〈ありがとう〉なんでしょうが」 癒やされたい中高年が多いってこと?