銅メダルの裏側にあったもの/松山英樹のコーチ・黒宮幹仁が語る2024年の歩み<前編>
元々、練習の虫である松山に練習量が戻ってきたら、自ずと結果も戻ってくる。「昨年(フェデックスポイントランキング)50位ギリギリになった理由をみんなで考えた時に『練習ができていなかった』って話になったんです。いかに練習量を増やすか。須崎さんとはよく話しながら、朝の練習場でショットもパットもしっかり時間を確保してもらおうと話していました。早藤キャディとも話をし、彼の練習時間を作ることに3人で協力していました」
松山をサポートする3人の協力体制。「全体を見るのは自分の役目。スイング面や体の動きで何が不足していて、何が加われば結果につながるのかは、松山プロと僕しか分からないところもある。そういうことを自分が客観視して皆に伝えて、トライアングルでどうサポートしていくかを話し合っていました。もちろんその中で、誰かが疲弊してしまうと、松山プロにも影響が出てしまう。誰かに負荷がかからないように、時に自分が早藤キャディの仕事を手伝ったり、皆が働く時間や労力を分散できるよう動いていました。それもすべて根本にあるのは『松山プロが練習する時間を確保する』ということ。5月までにポイントランク50位以内をクリアしようって早い段階で話していました」
年明けからプランを立て、年間2勝、オリンピック銅メダルという成果をもぎとった一年になった。「達成感はありますし、『こう取り組めばここまでの結果が出る』というのが見えたのも自分にとっては大きい。でも、『そりゃ松山英樹ならそうだろうな』とは思っていたので、今年の成績には正直びっくりはしてないです。むしろ、メジャーを獲れなかった悔しさのほうが先に立ちますね」 2021年「マスターズ」以来のメジャータイトル獲得に向けて、新シーズンを迎える黒宮のモチベーションは高い。
後編:黒宮が痛感した「ロケーション負け」(31日配信予定)へ続く