徳島発の「復興常備食」とは? 中学生が「復興常備食」の新メニューを考案し商品化【徳島】
JRT四国放送
災害時の食事といったら、皆さんはどういったものを想像しますか、やはり「乾パン」とか「クッキー」などでしょうか。 普段から美味しく食べられる新しい備蓄食、徳島発の「復興常備食」の新メニューを中学生が考え、11月16日にそのメニューがお披露目されました。 「災害時でも栄養をたくさん含んでいるおにぎりを食べると、元気が出ます」 「冬は心も体も温まります。食べるとすごく元気が出ると思います」 この日、徳島県小松島市立江町のあいさい広場では、市内の2つの中学校の生徒が来場者を前に自分たちが考えた「復興常備食」のメニュー案を発表しました。 「復興常備食」というのは造語で、南海トラフ巨大地震など災害に備えて考案されたものです、実際に能登半島地震の被災地にも届けられています。 この「復興常備食」、実は徳島発の取り組みなんです。 調理されたものを高品質冷凍食品にし自然解凍で食べられるため、水が貴重な被災地でも困らず、普段から食べられるローリングストックの食品なので、廃棄ロスも出にくくなります、そして全てグルテンフリーです。 生徒たちから様々なアイデアが出た中で、実際に商品化が決定されたのは小松島中学校3年生の島田大成くんが考えたメニューでした。 (小松島中学校3年 島田大成くん) 「ハモは高級魚で疲労回復や免疫向上の効果もあります。災害の被害を受けた地域の方々を元気づけるために、商品化してもらいました」 商品名は「ハモっ天むす」、徳島県キッチンカー協会の協力を得て完成しました。 小松島市の特産のハモのすり身や、タマネギやにんじんやごぼうなどが入った天ぷらを具材にしています。 手を汚さず食べることができ、栄養もたっぷり、天ぷらには小麦が全く使われておらず、アレルギー対策も考えられています。 (徳島県キッチンカー協会 理事 北條誠一さん(53)) 「東日本大震災の支援に行って、そこでお母さんが子どもにアレルギーがあるのに小麦のパンを食べさせている場面で、『我慢して食べ』っていう言葉に出会って、災害があっても選択肢が無いというのは大きな課題だと気づいた。『復興常備食』が生まれたきっかけはそこ」 徳島県阿南市の農家の北條誠一さんは、徳島県キッチンカー協会の理事で、今回、中学校からの相談を受け、生徒たちのサポートしました。 「復興常備食」という言葉を考案したのも北條さんで、これまでに数多くの商品を開発し、被災地に届けるなどしています。 (徳島県キッチンカー協会 理事 北條誠一さん(53)) 「常に備えるものであって、非常時に備えるわけではない。いつも使いができる言葉として作ったのが『復興常備』という言葉」 この日、生徒たちは発表後に「ハモっ天むす」を配布、来場した人に試食してもらいました。 試食は大好評、小さな子どもたちも美味しそうに食べていました。 この結果に、生徒たちは。 (小松島中学校3年 島田大成くん) 「多くの人が自分が考えたアイデアの商品で、元気になって笑顔になってくれたら嬉しいと思う。これからの世代の子もこういった形で『復興常備食』を作ってくれたら嬉しいし、災害が起きたときにどうするかを考える機会が増えたらいい」 (小松島南中学校3年 原岡莉亜さん) 「(試食で)配ってみて、色々な人が並んでくれて、笑顔で『ありがとう』って言って食べてくれて、すごく嬉しいと思った。(被災地の方にも)これからの未来を作る(私たち)子どもたちが考えたものだというのを知ってもらって、笑顔になってもらえると思っています」 「ハモっ天むす」はあいさい広場などで販売され、売り上げの一部は学校の備品購入などに使われる予定です。 見届けた北條さんは。 (徳島県キッチンカー協会 理事 北條誠一さん(53)) 「子どもたちが、経験もあるし結果としても持って社会に出る準備ができたっていうのは、感じたことのない感動。そういう子を作り出せる機会をもらえたことは、すごく嬉しさを通り越したもの。徳島だけが『復興常備食』を作っても数がしれている。作り出せる仕組みが全国にあれば、被災地以外で作り続けることができる。『復興大国・日本』になってもらいたい」 生徒たちが被災地のことを考え、思いを込めた「復興常備食『ハモっ天むす』」。 食べた人の空腹を満たすだけではなく、心も満たして未来への希望につながります。 この中学生たちの思いがこもった復興常備食「ハモっ天むす」は、12月10日に徳島県キッチンカー協会が能登半島地震の被災地へ炊き出しに行く際に、現地の被災者に届けられるということです。