AIプラットフォームで司法の効率化を進める中国
【東方新報】中国で人工知能(AI)は、今や教育、観光、医療など多くの分野で利用されているが、裁判官の業務効率の向上や一般住民向けの簡単な法的サービスの提供など、司法の分野での活用も検討されている。 人民法院出版社の余茂玉(Yu Maoyu)編集長は、11月に最高人民法院で行われた記者会見での席上「生成AI司法プラットフォーム」がすでに中国の国家網絡安全局に登録されていると発表した。 余氏によると、このプラットフォームは、膨大で信頼性が高く、質の高い司法データに基づいて構築された国家レベルの法的AIインフラで、裁判所の裁定、判例、法的見解など3億2000万件の法的情報を集積しているという。 余氏は「このプラットフォームは、膨大な情報を統合し、法的用語や論理的な理由付けが理解出来るよう、ユーザーの要求に応じて迅速にコンテンツを生成する」と強調する。 人民法院出版社の説明によると、裁判官はこれまでも電子端末を利用はしていたが、このプラットフォームの登場で、彼らは法律資料を調べたり検討したり、案件を選択したりする時間を大幅に節約できるようになった。このプラットフォームは、大量の電子ファイルから情報を分析し、比較し、より迅速に要点を把握して、要点を抽出することで、司法の効率を大きく向上させることができる。簡単に言えば、裁判官の「法律アシスタント」となり、法律情報の収集・分類を手助けし、増加する案件の処理負担を軽減する役割を果たすのだという。 また、このAIの学習訓練と最適化がさらに進んだ後には、一般住民向けの公共の法律サービスも提供される予定だ。例えば、AIが一般の人びとからの法律問題に関する専門外の問い合わせを理解した上で、個々の状況に応じた調停や訴訟に関する意見を提供し、人びとがより簡単に法律サービスや相談を受けられるようになることを目指している。 今年初め、最高裁は一般市民が重要な民事、刑事、行政事件を検索できるオンラインアーカイブを開設した。このアーカイブは、精神的虐待、ネットいじめ、通信詐欺、家庭内暴力、正当防衛などの法的問題に対する国民の懸念に対してタイムリーに応えることを目的としている。 この10年間、中国の裁判所は判決検索や裁判傍聴のためのオンラインプラットフォームなど、複数のオンラインプラットフォームを構築してきた。今回発表された「生成AI司法プラットフォーム」で、中国の司法の効率化は、また大きく前進することになるだろう。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。