大切なものを見失わないためにつくった、ヒュッゲの森|irodori Branding株式会社代表・村本彩さん |STORY
――irodori Brandingを立ち上げてからチーム化もされていますが、リーダーの在り方について、どう考えていらっしゃいますか? 私が代表を務めてはいますが、会社は“私がやりたいこと”だけを実現する場所だとは思っていません。「こういう世界をつくっていきたい」と考えている人たちが集まって、根底にある価値観が一緒だったら、irodori Brandingという会社を好きに使って実現して、自由に輝いてくれたらいい。 リーダーがビジョンを語ることが多いとは思いますけど、共通の想いは握りながらも、社員やパートナーのみんなが自由奔放に、色々な領域に広がっていく。そのわんぱくさを見守ることができる人が理想のリーダー像です。そう思えたのは、サントリー時代の上司の影響が大きいかもしれません。裁量権を与え、のびのびと走らせてくれたので、私もそんなリーダーでいたいと思っています。 でも実際は、社員のみんなも「彩さんの方向性と合っているかな?」という思考になりがち。だからもっと、チームメンバーが自分たち発意で色々なことを実現してもらえたら私もハッピーです。 組織の中では、本来はトップダウンの方が統制はとりやすいですよね。自由に描いていいものと外してはいけないものを、全員が明確に握っていないと難しい。それを実現するには、やはり対話しかないと思っています。一人ひとりと向き合って、じっくり話す時間が絶対必要。次のフェーズにいくためにも、今は対話の時間が一番大切かなと思います。 ――価値観を共有するために、丁寧にチームメンバーと対話をされているんですね。村本さんが、そこまでされるのはなぜなのでしょうか? 私自身、人のバックグラウンドに興味があって、「もっとわかり合いたい」という想いが強いんですよね。表面的にはすれ違うことがあったとしても、根っこの部分が一緒だったら、対話の中できっと繋がれると信じているんです。みんな違う人間だけど、同じだと思える感覚も確かにある。でも完全には一緒じゃないから、重なり合う部分も違う部分も両方、お互いに認め合って大事にしたい。 チームメンバーとは、単純に仕事として関わっているというよりも、その人に丸ごと関わりたいという気持ちがあります。その人の深い部分まで知った上で、仕事上の“機能”だけじゃなく、“情緒”でつながりたい。生まれ育った背景とか、今なぜこの人はこういう価値観を持っているのか? というところまで知りたいんです。 サントリーに入社した理由もそうですが、「人とつながること」が私にとって心からの喜びで、それはずっと変わりません。表面的にわいわいするより、なかなか言えないような深い話をできる人がどれだけいるのか、それこそが人生の豊かさだと思っています。人生で仕事に割いている時間ってすごく長いですよね。だからこそ、ただの仕事仲間という関係性で終わらせたくない。家族や友人にもしない話をすることもあるし、本当に不思議で特別な存在だと思っています。