スアレスを封じる吉田麻也の決意
スアレスとの因縁
新たなスタートを切るにはもってこいの相手だ。14日のウルグアイ代表との国際親善試合(宮城スタジアム)を前日に控え、ザックジャパンのDF吉田麻也(サウサンプトン)が闘志を高ぶらせた。 ウルグアイ代表のFWルイス・スアレス(リバプール)とは、昨シーズンのプレミアリーグで2度、エースストライカーとセンターバックとして直接対決。結果は1勝1敗で、リーグ2位の23ゴールをマークしたスアレスには2試合を通してゴールを許さなかった。 【予想メンバー】 ウルグアイ代表が本気になる理由 昨年12月1日に行われた、敵地アンフィールドでの初対決で0対1と敗れた直後。吉田は「本当に厄介な選手だったけど、楽しかった」というコメントをスアレスに対して残している。宮城スタジアムで13日に行われた公式練習を終えた吉田に、そのココロをあらためて聞いてみた。 「(リバプール戦では抑えたが)その中でもスアレスだけはやばかった。駆け引きが上手で、非常にズル賢い選手。常にゴールに迫ってくるし、ゴール前で一か八かのターンを仕掛けてもくる。ゴール前を空ければ、どんなところからでもシュートを打ってくる。簡単に言えば日本人やアジア人にない感覚を持っているし、あそこまで南米っぽい選手はプレミアでも数少ない。その意味で厄介な選手ですけど、僕もガツガツいくよりは考えながらプレーするタイプなので楽しいと思いました」 3戦全敗に終わった6月のコンフェデレーションズカップでは、計9失点と崩壊した守備の責任を一人で背負った。自らの緩慢な守備から同点に結びつくクロスを上げられ、最終的には3対4で敗れたイタリア代表との第2戦後にはロッカールームでひと目をはばからずに号泣。DF内田篤人(シャルケ)をはじめとするチームメイトから、「お前だけの責任じゃない」と慰められたという。 取材エリアとなるミックスゾーンには、目を真っ赤に腫らしながら現れた。「すぐに赤くなっちゃうんです」と照れ笑いしながらごまかしてはいたが、直後に結婚指輪をロッカールームに忘れていたことに気がついて慌てて引き返す一幕もあった。明らかに気が動転していた。 ブラジルの地で失意のどん底に叩き落とされてから1か月半。その間に開催された東アジアカップに招集されなかった吉田にとって、コンフェデレーションズカップ以来のA代表戦となるウルグアイ戦は再出発の舞台となる。 「失点を減らしていくことは、コンフェデで出た明らかな課題。ここから本番まではフレンドリーマッチしかないので、高いところに目標を置いていかないと。コンフェデでは自分を含めた全員が危機感を抱いたと思う。この1年でいかに多くのことを吸収して、代表チームに還元していくことができるか。その意味で、非常にハングリーな状況にあります」 前回の南アフリカ大会で40年ぶりにベスト4に進出したウルグアイは、一転して来年のブラジル大会出場を争うW杯南米予選で敗退の危機に直面している。4位に入ったコンフェデレーションズカップから続く「いい流れ」を、9月以降の正念場の戦いにつなげるために、スアレスや南アフリカ大会で得点王とMVPを獲得したFWディエゴ・フォルラン(インテルナシオナル)ら、現状におけるベストメンバーを組んでザックジャパンに襲いかかってくる。