スアレスを封じる吉田麻也の決意
守備組織の再構築
強力な攻撃陣を迎え撃つ吉田は、すでにコンビを組むDF今野泰幸(ガンバ大阪)にも警戒を要するスアレスの特徴を伝えている。1対1で止めるのは厳しいがザックジャパンの武器は組織力である。 今野も対戦を心待ちにしている。 「どんどん仕掛けてくると(吉田からは)聞いているし、僕自身もテレビでよくプレミアを見るので。プレミアでもトップ3に入るFW。正直、怖さもあるけど、1対1で守るわけじゃないので。チャレンジ&カバーを徹底していきたい」 ウルグアイ代表は日本代表に続いて、宮城スタジアムで公式練習に臨んだ。ハーフコートでのミニゲームなどで汗を流したスアレスは、吉田についてこう言及した。 「彼のことはもちろん覚えている。非常にいいプレーをしていたし、日本におけるベストのディフェンダーだろう。日本はすでにW杯出場を決めているし、明日はビッグマッチになると思うよ(笑)」 優勝した東アジアカップでも、日本代表は3試合で6失点を許した。守備の崩壊が止まらない、といった批判は、もちろん吉田の耳にも届いている。 「僕たちDF陣は、一回でもやられたらいけない。そういうプレッシャーは今に始まったことではないし、常に背負っている。今までのスタイル、今までのやり方の中で、局面、局面での1対1というシーンを少なくしていくか。いいサッカーだけをしていてもダメ。理想と現実のバランスを取ることが大事であり、その中でこの1年間、勝つことにこだわっていきたい」 アルベルト・ザッケローニ監督は就任以来、最終ラインを高く保つことを要求している。スピードも兼ね備えるスアレス相手に背後のスペースを空けるには勇気が必要だし、ピッチの上ではコンフェデレーションズカップのトラウマとも闘わなければならないだろう。 それでも、吉田は一人ではない。今野や両サイドバック、ボランチと力を合わせてチャレンジ&カバーを繰り返し、ウルグアイ代表のプレッシャーと恐怖を克服。スアレスとの勝負を再び「楽しい」と感じられた時に、吉田を中心とする日本の守備陣は新たな一歩を踏み出すことになる。 (文責・藤江直人/論スポ)