【全文】元横綱白鵬の宮城野親方が2階級降格 北青鵬は引退 調査結果・処分内容
北青鵬の暴行について特筆すべき点は、相撲協会全体を挙げて暴力根絶に向けた取組を継続している中で、このような悪質な暴行が、令和4年7月頃から令和5年11月頃までの1年以上に及ぶ長期間にわたり、日常的に繰り返されていた点である。研修等で暴力禁止の教育を受け、懲戒処分の可能性を知りながら、日常的に暴行を繰り返したのは、そもそも、法令や相撲協会の規程を守る意識がなかったものと言わざるを得ない。しかも、北青鵬の暴行は、A及びBが部屋の仕事で不始末をしたことに対する制裁という名目で行われていたほか、A及びBが痛がる反応を見て面白がっていたとも認められ、暴行の動機の面においても卑劣極まりない。 加えて、北青鵬は、令和5年12月23日に行われた協議の場において、Aの両親から、関取として宮城野部屋の所属力士らに模範を示すよう注意を受けていたにもかかわらず、その矢先である令和6年一月場所中には、以前にも宮城野から同様のことで注意を受けていたにもかかわらず、ロールスロイスで場所入りをするなど、まったく反省の態度が認められない。 このため、被害者であるA及びBの被害感情は非常に強く、他の所属力士らの多くも、北青鵬に反省の態度は認められず、北青鵬が宮城野部屋に残ることになれば、必ず暴行を繰り返すだろうと供述し、部屋への復帰は受け入れられないとしている。 北青鵬は、本件調査において、本件暴行を深く反省し、同種暴行を二度と繰り返さない旨誓約するとともに、いかなる処分も受け入れるとしながらも、許されるならば今後も相撲を取りたい旨希望しているが、このような反省や誓約は遅きに失したというべきで、酌むべき事情とは言い難い。 以上を総合すると、北青鵬を相撲協会の協会員として残すという選択肢はないといわざるを得ず、懲戒解雇処分も検討すべき事案というべきであるが、未だ22歳という年齢とその将来を考慮し、引退勧告の懲戒処分が相当と判断した。