トムソン・ロイターが法務特化型生成AIツールをローンチ、法律業務における生成AI活用の本格化
専有データで強化されるAI
そして今回トムソン・ロイターとして発表されたCoCounselは、同社の膨大な専有データを組み合わせることで、よりパワーアップしているようだ。 主な特徴として挙げられているのが、法の専門家のワークフローを模倣しているところとで、人間と同じ流れで処理することで同じような正確な結果が生み出せるよう検証できること。 さらに、CoCounselのAI推論が信頼できるデータに基づいていることの重要性を強調している。GTP-4の優れた全推論能力を活用しながら、学習する知識はほぼ全てが同社の提供するデータに制限。リーガルリサーチに使われる知識やデータの供給に特に注力しており、正確性を追求している。 つまり、AIの知識ベースをトムソン・ロイター社がキュレートした法的コンテンツに制約することで、透明性や信頼性が問われるこの業界で大きなアドバンテージとなっていることは確かだ。 なおトムソン・ロイターは2018年から法律家や会計士、コンプライアンス担当者をターゲットとした業務にシフトしている。同社は2,400人もの法務および税務専門家を雇い入れ、一貫した法律のアップデートと解釈をすることで、同社のコンテンツや分析能力の価値を高めている。同社の専有データと、専門知識によって、法律を職業とする人たちの特別なニーズに合致できるAIモデルをカスタマイズできるのも特徴だ。
法務へのAI導入
では法務特化型の生成AIは、実際にどのような運用が可能なのだろうか。 第一に、法律家の日常業務であり、時間をとられる業務を劇的に合理化している。判例のリサーチや文書の下書きなどといったプロセスを自動化することで、業務量の削減を実現。機械に任せることで、人間(法律家)はより戦略的な部分に時間を割くことが可能となり、クライアントとの関係も強化できるようになった。 CoCounselのウェブサイトによると、文書のレビューやデポジション(直接証言を取るための手段)、契約書の分析、時系列の作成を数分で完了できるとのこと。さらに、エラーが少なく信頼できる結果が出力されるとしている。 例えば、チャット形式で「カリフォルニア州の地主の権利」について質問すると、質問内容をさらに分解するよう求められ、最終的な解答は条例の番号と共に表示され、そこからさらに詳しく参照、検証できるようになっている。また、文書をそのままアップロードして、その中に含まれる文言を拾ったり、内容に関する質問をすることも可能だ。 さらに、裁判での答弁の例やベストプラクティスを検索することも可能、契約書と規制に関する文書を同時にアップロードすることで、CoCounselが文書を比較、関連ある部分、矛盾する部分、または潜在的リスクをピックアップするという操作も数秒で可能だ。 Casetextは新しいテクノロジーを導入しても、ローンチ前に入念な検査をするとコミットしており、生成AIが新興ブームであるものの、同社の事業は2022年ではなく2018年から大規模言語モデルを活用しており、CoCounselは決して誇大広告ではなく実態あるものだと強調している。