先代猫の慢性腎臓病が脳裏をよぎる フードを残すようになった2匹目の猫「ハナ」
食べてもらいたい
ハナマンの1階の扉を閉めていれば、はちが中に入って食べることはない。だが、食べ残しのフードを出しっぱなしにしているのは衛生的ではないし、風味も落ちる。だからしばらくハナが食べないと片付けて、1日の給餌量を小分けにしている保存袋に戻すようになった。 ハナは、器に残っていると食べないくせに、こちらが片付けると「ご飯が足りない」と鳴いて催促に来る。それで器に盛り直すのだが、ハナは少し匂いをかぐと、私のほうを振り返り「これ食べるの?」という様子でじっと見つめたのち、立ち去るのだった。 そうこうするうち、保存袋には食べ残したフードがたまるようになり、私は焦った。ハナが少食なのは体質もあるのだろうから問題ないとしても、これまで食べていたものを食べなくなるのは心配だ。それで、催促されてフードを出すときには、猫用のカツオブシをふりかけて誘導し、完食させるように試みた。だが香りにつられるのか食いつきはよいが、効果はなかった。 「そんなやり方をしていると、ハナばかりご飯をたくさんもらっているようにはちには見えて、かわいそうだよ。カツオブシも、与えすぎはからだによくないと思う」 私の様子を見て、ツレアイは言った。 確かに、ハナの食べ残しを入れた保存袋を台所から取り出すと、はちは自分にくれるのかと勘違いして、小走りであとをついてくる。そして、フードの行き先がハナの器だとわかると、うらめしそうにじっと見つめている。 催促されるたびに与える、という行為は猫を甘やかすことにもなり、よくない。なんとかハナがまた自力で完食するようにしたい。 そんなとき、たまたま知り合いからあるドライフードの試供品を分けてもらった。それは、シニア猫の筋肉の健康を維持するために「厳選素材の鶏肉・魚由来のタンパク質を豊富に含んだフード」で、2匹が普段食べているものよりもタンパク質の含有量が多く、穀類の量が少ないものだった。タンパク質が多いということは、きっと味が濃くて食べ応えもあり、おいしいに違いない、と私は思った。