投票率37.08%の雲仙市長選 地方政治への関心低下が懸念 長崎
22日投開票された雲仙市長選は、無所属で現職の金澤秀三郎氏(64)が無所属新人の小西彦治氏(53)を破り、4選を果たした。だが投票率は、7町が合併して市が発足した2005年の市長選と比べ、47・48ポイント低い37・08%と低迷。地方政治への関心低下が懸念される結果となった。来年は任期満了に伴う市議選が実施される見通しで、住民の関心を高める取り組みが求められそうだ。 22日夜。大勝にも金澤氏の表情は硬かった。翌日、選挙戦を振り返り「市政への関心を高めてもらうために、交流サイト(SNS)などで情報発信を強化し、市民との意見交換も検討したい」と語った。 雲仙市長選は前回まで4回連続で無投票だった。小西氏は立候補に当たり「無投票が続けば行政と議会がなれ合いになる可能性がある。ぬるま湯に漬かるような議会ならば改革も必要」と持論を展開した。 小西氏の指摘に対し、雲仙市議会の小畑吉時議長は「なれ合いはない。常に是々非々だ。実際に議会を見てほしい」と反論した。 ただ、雲仙市議会が活性化しているとは言い難い現状がある。 4期以上務める市議は6割を超える。前回21年の市議選で入れ替わったのは19人中、1人だけだった。平均年齢は69・5歳。女性市議はおらず、長崎県内13市で唯一の「女性ゼロ議会」だ。 市議会と市民が対話する場は設けていない。各議員が個別に自治会長との懇談会などを開いている。 市内の農業の男性(70)は「市民に開かれた市政、議会なのか。市長や議会と一般市民が意見交換をする会も開かれていない」と疑問を口にする。 県立大地域創造学部の石田聖准教授(公共政策)は、地方首長選での無投票や地方議会が活性化しにくい理由について「なり手不足や選挙後に地域にしこりを残すのを嫌うことが考えられる。市町村合併後に行政範囲が広くなると、選挙活動がやりづらく、地域課題が多岐にわたることも影響する。解決には一定の時間が必要だ」と指摘する。 石田准教授は、地方議会に立候補する若手や女性を増やすために「企業、団体が兼業や在職中の立候補を認めるか、落選した場合の復職を支援する」「住民が当事者意識を高められるように、市政や議会活動について対話型の会議を定期的に開く」などの取り組みを提案する。 雲仙市議は来年11月19日に任期満了を迎える。市と議会の「改革」の取り組みが注目されそうだ。