2025年販売開始のミニカー「Lean3」に初試乗。超小型EVは次世代モビリティのエースになれるのか!?
コクピット感覚にあふれた適度な包まれ感が嬉しい
実際に運転した印象はどうだったのか。今回は試乗スペースの関係で速度は10km/hほどが限度だったが、その範囲でわかったことをお伝えしたい。まずボディの左側にあるドアを開けて乗り込む。シートはシンプルな作りでシートバックは薄いが剛性はそれなりに確保されている。シートベルトを締めてハンドルを握るといわゆるコクピット感覚で、適度な包まれ感があり安心できる。全幅が970mmというとかなり狭いのではと思われるかも知れないが、とくに不満はない。 足元スペースは広いとは言えないが、グローバルカーなので190cmあまりのユーザーでも無理なくアクセル&ブレーキペダルを踏むことができるように設計されているという。前方視界はワイパーのステイが少々気になるが、ハンドル上面がフラットになっていることもあり全般的にはかなり良い。メーターは正面ではなくハンドルの右横に設置されていることも視界の良さに貢献している。また、全高は1570mmあるので頭上のスペースはそこそこ余裕がある。 セレクターボタンはハンドル右側に上からR、N、Dの順番で配置されている。Dを押してスタンバイ完了、アクセルペダルを踏み込んでいく。この踏み込み具合には少々気をつかった。最大トルクがすぐ出るモーターとは言え、定格出力0.6kW以下なのでそこそこ回転を上げないと発進しない。このあたりの感覚は慣れが必要だし、また慣れればとくに気になることはなくなるだろう。
ボディがコンパクトであることのメリットは大きい
スピードが10km/hほどになるまで加速するが、文字通りフラットトルクでいかにもEVというフィーリングだ。このまま20km/h、30km/hといきたいところだが、試乗スペースの関係でそうはいかなかった。原付ミニカーの道交法上の最高速度60km/hまでどのように伸びていくのかは確認できず、このあたりはまたの機会にお伝えしたいと思う。 さて、しばらく円を描くように走行、さらにS字走行をしたが、コーナリングはバイク感覚だった。と言うのはバイクのように曲がるときにはボディが傾くのだ。速度と曲がる角度によりボディが自然に傾くので、基本的にフラットな姿勢で曲がるクルマ とは違い、横Gをあまり感じることなく身体はシートにしっかりと支えられて安定感があるのだ。 また、駆動はインホイールモーターの後輪1つで行うが、運転中にそのことを意識させられるような動きは感じられなかった。また、取り回し性についてだが、最小回転半径は3.6mなのでボディのコンパクトさと相まって、路地を入った狭いスペースなどでも駐車できるのではないかと思った。ちなみに軽EVの日産サクラの最小回転半径は4.8mだ。 参考のためにリーンスリーとサクラのスリーサイズを記しておきたい。全長×全幅×全高はリーンスリーが2470×970×1570mm、サクラが3395×1475×1655mmだ。リーンスリーはガソリンスタンドが減少の一途の地方で使い勝手がいいと前述したが、都市部の狭い道の奥にある住宅など、これまでクルマを持つことを諦めていた人たちにもお勧めできるだろう。 以上、試乗記としてはまだまだ不十分で確認したいことはあるが、実際に動かしてみることで、改めてミニカーカテゴリー、リーンスリーのポテンシャルを感じ取ることができた。社会の変化とともにモビリティのあり方も変わってくるのは当然のことであり、それは大いに歓迎すべきことだ。続報に期待していただきたい。