「糸都岡谷」の歴史、カードゲームで発信 慶大ゼミが開発、第1弾完成 長野県
かつて生糸の一大生産地として発展した「糸都岡谷」を広めようと、慶応義塾大学経済学部のゼミ「藤田康範研究会」が開発していた「シルクおかやカードゲーム」の第1弾が、完成した。学生が製糸業の歴史に関する聞き取り調査の収集、分析、PRの方法として進める研究の一環で、200セットを制作。長野県岡谷市内の全11小中学校で活用してもらうため、22日に一部を市に寄贈した。 藤田康範研究会は、2023年に同市中央町の国登録有形文化財「旧山一林組製糸事務所」に研究室を開設。岡谷を日本の産業革命の発祥の地と位置付けて調査、研究を進めている。カードゲームの商品化を目指し、3種類の開発に着手していた。 第1弾は「日本の産業革命の歴史」をテーマに、生糸、繭、綿糸(紡績)、綿花について紹介。桑畑や蚕、蔟と呼ばれる道具などのイラストをあしらった。カードはトランプサイズで56枚。ポーカーを基にしたルールで、カードをそろえて得点を競う。 研究会によると、これまで試作品の実証実験を重ね、市民の声を反映しながら改良。岡谷蚕糸博物館(同市)の髙林千幸館長が監修し、グラフィックデザイナーの小平陽子さん=同市塚間町=がイラストに協力した。 この日は、藤田康範教授(56)と学生4人が市役所に早出一真市長を訪ね、カードゲーム50セットを寄贈した。藤田教授と、リーダーで4年の吉田起樹さん(22)は「製糸業で隆盛を極めた岡谷の歴史を楽しく学ぶきっかけになれば」と期待。早出市長は「地元のシルクの歴史、文化を理解するのに活用したい」と感謝した。 カードゲームは1200円(税別)。同博物館などで取り扱う。