息子は中学3年の受験生。高校の授業料が「無料」なら、私立に入れた方がお得でしょうか?
私立高校は、公立高校に比べて学費が高いイメージがあります。高校受験の時期を迎える子どもがいる家庭では、私立か公立か、進学先をどうするかで迷うこともあるでしょう。 私立高校の授業料については「高等学校等就学支援金」の制度改正により支援金が引き上げられました。しかし、この制度によって学費のすべてが無料になるわけではありません。今回は、私立高校に行く方が本当に得なのかについて考えてみました。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
私立高校の実質無償化とは
高等学校等就学支援金の制度改正で、2020年(令和2年)4月から私立高校の授業料への支給上限額が引き上げられ、世帯年収が590万円未満の世帯では、最大で年額39万6000円まで支援されることになりました。 文部科学省の令和4年度の調査では、私立高校における初年度の授業料の平均額が44万5000円ほどとなっています。そのため、私立高校の授業料は実質無償化といわれているのです。 ■制度の注意点 年間の授業料が支援金の上限額39万6000円を超える場合は、超えた分を負担することになるため、完全に無償とはなりません。また「世帯年収590万円未満」は、両親と高校生、中学生の子どもがいる4人家族で、両親のどちらか一方が働いている家庭を基準にして算出した額です。 支給額の計算は市町村民税の税額を基に行うため、両親が共働きなのか、一方だけが働いているのかや、子どもの人数などによって変わってきます。そのため「世帯年収590万円未満」は、あくまでも目安である点に注意が必要です。 ■授業料以外に必要な費用 私立高校に通うためには、授業料以外にもさまざまなお金がかかります。文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、私立高校において授業料以外に以下の費用が必要となっています。 ●学校納付金等 ●通学関係費(交通費など) ●教科外活動費(部活動費など) ●図書・学用品・実習材料費等 ●修学旅行費等 ●入学金等 これらの「学校教育費」に加え、塾代などの補助学習費を含む「学校外活動費」を含めると、授業料以外に年間76万円以上のお金が必要となっています。一方、公立高校で授業料以外に必要な費用の金額はおよそ46万円です。