清水建設はsMedio（東京都中央区）と共同で、山岳トンネルの建設現場で安全性を向上するシステム「みまもりマスタ」を開発した。画像解析人工知能（AI）を用い、切羽（掘削面）の鏡吹き付け面に発生したクラックをリアルタイムで検知。切羽崩落の危険性が高い場合は、近傍の作業者に注意喚起の警報を発する。クラックの検知時間を短縮できるほか、監視員の移動距離や作業時のストレスを低減する効果も見込める。 みまもりマスタはネットワークカメラとカメラ映像の転送装置、警報装置、パソコン、タブレット端末で構成する。切羽近傍（切羽から12メートル程度）のトンネル壁面や重機にネットワークカメラを設置し、そのモニタリング画像を基にAIが鏡吹き付け面に生じたクラックを高い精度で検出する仕組み。 検出結果は切羽の監視員が所持するタブレット端末の画面に瞬時に表示される。切羽の崩落につながる危険性が高いクラックが検出された場合は、音や光による警報を発して作業員に切羽からの退避を促す。 実証試験では、切羽から10・5メートルの位置にカメラを設置した場合でクラックの検知時間を従来より約16秒短縮。これにより、作業員が十分な退避時間を確保できることを確認した。清水建設の施工現場に展開していく。