名人位に返り咲き 村田洋一四段 第73期美作アマ将棋名人戦/岡山・津山市
村田洋一四段(63)=会社員、小原=と川口剛五段(58)=自営業、皿=の元名人同士のどちらが空位となっている名人位を獲得するかと、将棋愛好家の注目を集めていた第73期美作アマ将棋名人戦(津山朝日新聞社主催、日本将棋連盟津山支部主管)は11日、岡山県津山市高野本郷の津山キッズ将棋教室を会場に三番勝負で行われた。実力者同士の戦いは、村田四段がストレートで川口五段を下し、5年ぶり2回目の名人位に返り咲いた。 【写真】名人位に返り咲いた村田四段
立会人=森川邦夫三段、記録=市本恕一三段、西崎文雄二段、持ち時間45分、1分秒読みで行われた。
最初に本社・福田慎太郎取締役が「美作地域の頂上決戦で今期はベテラン同士の対戦となった。思う存分戦ってください」とあいさつし、対局に移った。
タイトルの行方を大きく左右する第1局は、午前9時6分、振り駒により村田四段の先手でスタート。村田四段は得意の嬉野流を採用。対する後手番の川口五段は居飛車の矢倉模様で対抗し、出だしから定跡形を外れた相居飛車の力戦を展開。中盤戦は難解な接近戦となったが、と金作りを目指す展開で川口五段が抜け出して優勢となるも村田四段が銀打ちの勝負手を放ち、さらに川口五段の「王手飛車」の見落としがあり、AI評価値では僅差での終盤戦に突入した。終盤では、将棋でよくある逆転の流れとなり、流れをつかんだ村田四段が押し切った。1時間5分、95手。
第2局は10時45分、川口五段の先手で開始。前局同様に村田四段は嬉野流の出だしから菊水矢倉への変化に対して川口五段は、矢倉模様で対抗。またも難解な中盤戦となるが、うまく攻めをいなして角をさばいて駒得となった川口五段が優勢となった。村田四段も懸命に粘るが、徐々に優位を拡大していった川口五段の勝勢で終盤に。あとは川口五段の収束を見るばかりの局面で大事件が発生。後手の角での王手に対して玉を交わすべきところ、銀を打って先手を取りにいった指し手が大悪手で、角打ちによる「竜と金取り」をかけられて大逆転。金を取られる手が王手となって合い駒が悪く、ついでに詰みが発生するというまれに見る劇的な大逆転劇で村田四段の勝利となった。1時間40分、128手。