【第25回 車いすラグビー日本選手権大会】古豪復活に挑んだBLITZが8年ぶりに王座奪還。
ついに、パラリンピック・イヤーが幕を開けた。 その高揚感を煽るかのように、車いすのタックル音が会場に鳴り響いた。 1月12~14日、クラブチーム日本一を決める国内最高峰の大会「第25回 車いすラグビー日本選手権大会」が千葉ポートアリーナ(千葉市)で開催された。 今大会には予選大会を勝ち抜いた全8チームが出場、BLITZ(東京)が8年ぶり9度目の優勝を果たし、古豪復活の狼煙をあげた。 「BLITZ 対 TOHOKU STORMERS(東北)」の決勝戦。 今シーズン、常勝軍団として無敵の様相を呈するのはBLITZ。 メンバーのほとんどが日本代表経験者というタレント集団でありながら、そこに昨年4月、日本代表のトライゲッター・池崎大輔が新加入したことで、東京パラリンピック日本代表メンバーだけで組むラインアップ、という最強の武器を手に入れた。
長谷川勇基-小川仁士-池崎大輔-島川慎一。 この“国内最強ラインアップ”の初出陣となったのが、予選ラウンド最後の試合となったTOHOKU STORMERS(以下、STORMERS)戦。前回大会では準決勝で対戦し負けを喫した相手だけに、それまでとは違う気合いが感じられた。 なかでも“国内最強”ラインがSTORMERSの4人全員をコーナーに閉じ込めたディフェンスは強いインパクトを残した。 57-47で前年のリベンジを果たし、目標とする優勝に向け弾みをつけた。 対するは、日本代表候補の中町俊耶と橋本勝也を擁するSTORMERS。 前回大会では、チーム設立5年目にして決勝進出という快挙を成し遂げた。チーム結成当時、橋本はまだ中学生だった。その橋本と、絶大なキャプテンシーを誇る中町の目を見張るような成長、そして橋本―中町にしか成し得ない高次元の連係プレーがチーム力をぐんぐんと引き上げた。
世界を目指す者、余暇としてラグビーを楽しみたい者、それぞれの目標、それぞれのモチベーションの選手が所属するクラブチーム。STORMERSは毎年チーム・スローガンを掲げることで、強度こそ違えど、同じ方向を向き、同じ絵を見ながら、チームの絆を深めてきた。 日本選手権で全敗した初年度から大会ごとに着実に順位を上げている基盤には、地道なチームビルディングがある。 今大会では、前回大会の決勝で敗れたFreedom(高知)と準決勝で対戦。日本代表キャプテンを務める池透暢と日本代表候補の白川楓也を擁するFreedomに対し、統率のとれた組織的な連係プレーで主導権を握り54-51で勝利を収め、見事リベンジを果たした。