【第25回 車いすラグビー日本選手権大会】古豪復活に挑んだBLITZが8年ぶりに王座奪還。
STORMERSは第4ピリオドで、BLITZを上回る数のターンオーバーで反撃するが、その点差を埋めることはできない。試合時間のこり2分52秒、BLITZのプライドを誇示するかのように、再び“国内最強ラインアップ”が登場する。 最後は、誰よりも優勝への強い思いを持ち続けていたベテランの島川慎一がラストトライを決め、試合を締めくくった。 55-46。 BLITZがプレッシャーを跳ねのけ、8年ぶりに王者奪還。日本選手権最多となる9度目の優勝に輝いた。 「全員で勝ち取った勝利。この優勝にあぐらをかくことなく、しっかり進化していきたい」 島川は連覇への決意をにじませ、視線はすでにその先へと向けられていた。 一方、STORMERSの橋本は、「相手が日本代表のフルメンバーというところで、厳しい戦いではあった。難しい試合になってしまい、正直、悔しい思いはあるが、その中で対抗できたディフェンスもたくさんあり、『執着』をコート上で体現することができた」と胸を張った。 そして、キャプテンの中町は、「準決勝で(前回の決勝で負けた)Freedomに勝ってチームの成長を感じることができたが、今年はBLITZに敗れてまた成長できる部分が見つかった。来年は決勝の舞台で勝てるようにしたい」と、2年連続の決勝進出という結果に甘んじることなく頂点に挑む覚悟を示した。 クラブチームとしての今季の戦いを終え、日本代表候補選手たちは今後、8月に開幕するパラリンピックに向けた強化に本格的に取り組むことになる。 一番障がいの重い、クラス0.5で国内トップレベルを誇る長谷川勇基(BLITZ)のキレのある頭脳プレー、一瞬たりとも留まることを知らない乗松聖矢と草場龍治(ともにFukuoka DANDELION、福岡)のハードワーク…。 日本代表の活躍を予感させる、心揺さぶるプレーが随所に見られた日本選手権となった。 1月25日(木)~28日(日)には、国際強化試合「2024 ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」が千葉ポートアリーナ(千葉市)で開催される。 パラリンピック最終予選を見据える、世界ランキング(※)9位のドイツ、同11位のブラジルを、日本(同3位)が迎え撃つ。※2023年11月24日現在 激しさだけではなく、見れば見るほど、緻密さと奥深さに触れることになる車いすラグビー。 選手一人ひとりの思いやストーリーとともに、その競技性にも大いに注目だ。