自分の責任ではあるけれど聞くも涙! 実際にあった愛車の廃車エピソード3つ
化粧を落としたら、果てしなく崩れた地肌が露出
これは知り合いが昔に経験したちょっと特殊なケースです。 車両はAE86レビンの3ドアハッチバックです。まだ例のマンガが流行る前に、峠を楽しむのを兼ねた日常の足として、格安で中古車屋に展示されていたハチロクを即決で購入しました。 値段なりにボロい車体でしたが、いちおう試乗をして大きな問題はなかったので、気になるところだけDIYで補修して乗りまわしていました。 エンジンは載せ替えているとのことで思いのほか快調だったので、足まわりやブレーキの確認のため近くの山に向かうことにしました。 ※写真はノーマルのカローラレビンのエンジンルーム 山道に入りコーナーをいくつか抜けると、足はかなり柔いと感じたものの登りはそれなりのペースで走れたので、そのまま山を下るルートに入りました。徐々にコーナーの進入速度を高めていき、ノーマルブレーキではそろそろ限界かな、と思った辺りで「ガゴン!」といきなり右前が接地するほど沈んだのです。 ハンドルはなんとか効いたのでそのままゆっくり下って避難スペースにクルマを入れて確認すると、右の前輪がハの字で車体に埋まるように入り込んでいました。バンパーの右前は完全に接地状態です。ボンネットを見ると、ストラットの上あたりが盛り上がって隙間が空いていました。 すぐにレッカーを呼んで知り合いのショップに向かいました。そこで歪んだボンネットを開けてみると、なんと、ストラットの上側が分離してエンジンに当たるほど内側に寄っていたのです。 この時点でかなり修理が面倒なことになるな……と思ったそうですが、トラブルはまだ序の口でした。 後日、ショップに呼び出されて出向いてみるとハチロクはジャッキアップされており、なぜかシートが外されてカーペットも外されています。「これみて見ろ」と示すままに覗いてみて呆然としました。ボディのフロアパネルとサイドシルの段差部分が分離していたんです。この惨状は車体の各部に及んでいました。荷室のテールランプ側の隅は地面が一直線に見える状態で、下を覗くとフレームのスポット溶接部が何カ所か剥がれていました。 その後ショップと話し合った結果、「これは補修のレベルではなく、レストアが必要」という結論となり、安く購入したこともあって、すぐ廃車にしてしまったそうです。 いまのハチロクの価値ならレストアするという選択肢が採れたかもしれませんが、当時では仕方ない判断でした。 やむを得ずに廃車の判断を下さなければならなかったエピソードを3つ紹介しましたが、いかがだったでしょうか。 どれもいまとなっては大枚はたいて修復しても元が取れそうな車種ばかりですが、おそらく自分だけでなく、その当時は不動車にさほどの価値が認められずにどんどん数が減っていったのでしょう。 結果として入手が困難となり、価格にプレミアが付いていったというのもなかなか切ない流れだなと思います。
往 機人