自分の責任ではあるけれど聞くも涙! 実際にあった愛車の廃車エピソード3つ
不慣れな乗り手がジャジャ馬を手懐けられず、ノックアウト
仕事で昇級したこともあり、ボーナスをつぎ込んでようやく、昔からの憧れだったR32型GT-Rのオーナーになることができました。 走行5万kmくらいで、外観は社外ホイールを履いて太いマフラーを装着しているくらいのほぼノーマルな車両でしたが、なぜかツインプレートのクラッチを装着していました。試乗でそれが気になりつつも、初めて踏む「RB26DETT」エンジンの直6フィーリングの気持ちよさの前には些事に思えてその場で契約してしまいました。あとになってそれが悲劇のトリガーになろうとは、そのときは露ほども思ってはおらず、重くて半クラの少ないクラッチに難儀しながらも、気もちはウキウキで帰途についていました。 あるとき、クルマ好きの友人への披露を兼ねて、都内を軽くドライブすることになりました。まだクラッチの扱いに慣れることができておらず、信号の発進のたびに緊張を強いられていましたが、広めの幹線道路ではなんとかエンストせずに友人への体面を保っていました。 そして、記念写真でも撮ろうとなり川原に向かって住宅街を抜けようとしていたときのこと。左右が塀で完全にブラインド状態のカーブミラーもない交差点に差しかかりました。左右の見通しがほぼゼロなうえに交差側の道はそこそこの交通量というなかなかのプレッシャーのポイントで、しかもクラッチ操作が危うい状態が重なってしまい、内心では冷や汗をかきながらなんとかクリアしないとどうにもならないというプレッシャーのなか、クルマの流れの切れ目を見付けて「ここだ!」とクラッチをつなぎました。しかし、焦りが足に作用してしまったのか、右足がアクセルを強めに踏んでしまったようで、半クラできずにスパッと繋がってしまったクラッチ操作と合わさり、「ドン!」という勢いで発進していました。そして一瞬の後には車体が斜めに傾いていたのです。 交差点を抜けた先で標識のポールに左前部を当てながら、傾いたポールに乗り上げる形で止まっていました。 「やっちまった……」と思った一瞬の後でハッと助手席を確認すると友人の顔は青ざめていましたが、怪我はないようで、その点は不幸中の幸いでした。 その結果、念願だったR32型GT-Rはエンジンにダメージが及び、フレームも曲がっており、修理見積りが購入費用を超えてしまいました。いわゆる全損です。購入してからまだ半年も経っていませんでした。 ちなみにその車両は、知り合いの自動車屋さんの好意で無事なパーツを回収させてもらい、次のGT-Rの予備とすることができましたが、結果として高いパーツ代となってしまいました。