大都市・名古屋に涼しい「木造」学童保育 建設や資金調達に走り回った親の思いとは?
働く親などのために放課後の児童の居場所を確保、育成する学童保育。子育て支援の拡充とともに、その役割や必要性はますます増しています。地域によってさまざまな運営形態がある中で、名古屋市では父母がお金を出し合ったり、自ら施工したりして保育施設を「木造」にする動きが出てきています。その経緯や親たちの思いはどんなものなのでしょう。
「プレハブ」では対応できない名古屋の学童
名古屋市東部の昭和区。そこに「山里学童クラブ」という、名称こそ山あいにあるようですが、密集した住宅地に囲まれた鉄骨プレハブの学童保育所があります。少子化が進む中でも児童数は増え、一時期は100人を超えるほどに。2002年には分離する形で「山里第二学童クラブ」を新設、05年に約1キロ離れた別の敷地を確保して「第二」のプレハブを建てました。19年度は両クラブで110人の児童数となり、数名が待機する状態となっています。 こうした中で、別々の経緯ではありますが、それぞれに「木造化」の話が進み出しました。 山里学童では、数年前からプレハブの建て替えや移転拡大などの検討が始まりました。しかし、なかなかいい場所や建物は見つかりません。後述しますが、名古屋市では子どもを預ける父母自らによる学童運営が基本。保育料の集金や指導員への給与支払いをはじめ、施設も自分たちで確保します。土地が決まれば建物は市が無償で貸与しますが、それは規格の決まった鉄骨平屋のプレハブ。国が示す児童1人当たり約1.65平方メートルという面積基準に対し、名古屋市の標準的なプレハブは台所やトイレなどの面積を差し引くと、最大でも児童23人分の広さ。それ以外の建物は助成対象外となるため、自前で設計や工事を頼まなければなりません。 山里学童でこのプロジェクトを担当した保護者の金知聖さんは「使えそうな土地は狭く、今の児童数に対応するなら2階建てにしたかったが、それでは市の助成がもらえない。ハウジングセンターなどを回り、展示が終わった建物を安くもらえないかと探した」こともあったそうです。そんなとき、指導員から「木造でできるかも」という話を聞かされます。