はて…?「ふてほど」の受賞で流行語大賞“限界説”が浮上、国民的な人気ワードがもう誕生しない理由
● 「そんな言葉、どこで流行ったの?」 新メディアの台頭で興味が“界隈化” しかし振り返ってみれば、この頃が全世代が納得できる流行語の最後だったのかもしれない。 SNSが隆盛となり、個人でも動画での発信が容易な時代となった。テレビが圧倒的な発信源として君臨した時代は今は遠く、今年は「オールドメディア」と叩かれまくっている。 若い世代はTikTokに夢中だし、高齢層でもYouTubeを楽しんで見ている人は少なくない。そして趣味は多様になった。野球人気はいまだ根強いとはいえ、五輪種目にもなったブレイキン、スケートボード、スポーツクライミングなど、それぞれの分野での熱狂がある。 トップ10には「界隈」という言葉が入ったが、この言葉を使うのであれば、それぞれの「界隈」での熱狂があり、逆に言えばその「界隈」から一歩出れば、そこで流行っていることを誰も知らないという状況が顕著なのが現代である。昔のように国民的スターが生まれづらく、「推し」も多様と言っていいかもしれない。 こういう時代であるからこそ、最も知られる「流行語大賞」の他にも「ネット流行語大賞」(2007年~)、「SNS流行語大賞」(2019年~)というものが存在する。 「ネット流行語大賞」は今月18日に発表されるそうで、ノミネートされているのは「無課金おじさん」「人の心とかないんか?」「思ったよりヤバいのが出てきたなどうすんだこれ」「大谷翔平」「石丸伸二」など。 「SNS流行語大賞」はすでに発表されており、1位は「猫ミーム」だった。こちらでも5位に「無課金おじさん」が選ばれているほか、8位に「デコピン」がめでたくランクインしている。
ただ、ネット流行語大賞、SNS流行語大賞のノミネートやトップ10を見ても、それなりに日々ネットばかり見ている筆者でもまったく知らない言葉が少なからずあり、発信元をネットに限ってみても、人によって見ているものがこうも違うかと思わされるところがある。 ● どうしたって強い「大谷翔平」 国民的人気の流行語は今後も誕生するか? そして、こう調べてみて感じるのが、やはり大谷翔平選手の強さなのである。 流行語とは別に、その年に最も検索数が急上昇した人や商品を発表する「Yahoo!検索大賞」がある。 こちらで2年連続で大賞に選ばれたのが「大谷翔平」。2年連続ということで、去年に引き続き、今年も前年の検索数よりも上昇率が高かったということのようなのである。「急上昇理由」に挙げられているのは、みなさまもご存じの通り、「2年連続の本塁打王と初の打点王獲得」「MLB史上初となるシーズン50本塁打50盗塁達成」である。 先ほどエンタメや趣味も多様性の時代と書いたが、こういった時代においても大谷翔平選手の存在感というのは群を抜いており、個々の興味の分野の壁を乗り越えて迫ってくる偉人だと言わざるを得ない。 放っておいたらそこら中のランキングが「大谷翔平」とその関連になりかねないのであり、ある意味ランキング殺しである。流行語大賞にも「殿堂」枠を作らなければ、大谷翔平選手に乗っ取られかねない。 というのは冗談としても、今回の大賞発表でのSNS上での反応を見るに、今後はそれぞれの「界隈」で流行語が発表され、それぞれで盛り上がるのがちょうど良いのかもしれない。さみしくはあるが、これも時代である。
鎌田和歌