【競馬予想】GIマイルCS、ブレイディヴェーグはマイル路線の絶対女王になれるか
確たる主役、スター不在と言われ、「近年のGIでは毎回、似たようなメンバーが勝ったり負けたりを繰り返している」と揶揄されている芝のマイル路線。しかし今秋、そうした状況にようやくピリオドが打たれるかもしれない。 【画像】話題のフジテレビ・竹俣紅アナ「連載写真館」 今週行なわれる秋のマイル王決定戦、GIマイルCS(11月17日/京都・芝1600m)に待望久しいスター候補が出走する。 この秋、GII府中牝馬S(10月14日/東京・芝1800m)で鮮やかな大外一気を決めたブレイディヴェーグ(牝4歳)だ。 ブレイディヴェーグにとって、同レースは昨年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制して以来、およそ11カ月ぶりの競馬。その間にも2度ほど出走プランはあったが、いずれもレース直前にアクシデントに見舞われて回避となった。 そういった過程もあって、デビュー以来5戦連続して1番人気だった支持も、この一戦に向けては2番人気と評価を下げた。ファンの多くはこの馬の能力を高く評価しつつも、順調さを欠いての長期休養明けでは、「それでも勝てる」と言いきれるほどの確信が持てなかったのだろう。同馬を管理する宮田敬介調教師にしても、レース前には「本当によくなるのは、次か、その次」と見ていたのだから、なおさらだ。 ところが、そんな周囲の不安や懸念を吹き飛ばすかのように、ブレイディヴェーグは復帰戦で見事に弾けた。 4角10番手で迎えた最後の直線、余裕を持って大外に進路をとると、メンバー最速タイの上がり32秒8の末脚を駆使して前を行くライバルたちを次々にかわしていった。この軽快な走りと極上のキレ味には、鞍上の名手クリストフ・ルメール騎手も「気持ちよかったです」と舌を巻いた。
もともと素質の高さを評価されていたブレイディヴェーグだが、2度の骨折など度重なるアクシデントに見舞われて、その競走生活はデビュー以降、苦難の連続だった。陣営の思うような形でレースを使うことができず、3歳春のクラシック出走も叶わなかった。 それでも故障を克服すると、古馬相手のエリザベス女王杯で戴冠。キャリア5戦目で古馬相手のGIを勝つのは、イクイノックスと並ぶJRA最少記録だという。 その後も順風満帆とはいかなかったが、ほぼ1年ぶりの一戦で完全復活。このあと、どういった路線に進むのか、大いに注目された。 そうして陣営が選択したのは、マイル路線だった。 ただし、ブレイディヴェーグはここまでの6戦で芝のマイル戦は一度も走ったことがない。すべて1800m以上のレースだ。待望久しいスター候補ではあるが、この距離短縮、すなわちマイル戦に対応できるかどうかが唯一の懸念となる。 それに対して、「心配はないでしょう。むしろ、向くかもしれません」と言うのは、関西の競馬専門紙記者だ。 「陣営も府中牝馬SのあとはマイルCSと、当初から決めていたようです。それだけ、マイルの距離には自信を持っている、ということでしょう」 同記者が「マイルは向く」とする根拠は、同馬の非凡なスピードとキレ味。スピードについては、昨年のGI秋華賞トライアル、驚異のレコード決着となったGIIローズS(阪神・芝1800m)で、勝ち馬からコンマ2秒差の1分43秒2という速い時計をマークしていることで実証されている。 キレ味についても、過去6戦のうち、2200m戦のエリザベス女王杯を除く5戦で、メンバー最速(タイも含む)の上がりタイムをマーク。しかも、そのすべてが32秒台か33秒台で、マイル向きのキレ味は十分すぎるほど備わっていると言える。 ブレイディヴェーグがこれまで、マイルのレースを使ってことなかった点について、先の専門紙記者はこう説明する。 「3歳の春は骨折でクラシック戦線に乗れず、GI桜花賞(阪神・芝1600m)に出られませんでした。秋も当初は秋華賞(京都・芝2000m)を目指していましたが、中間でアクシデントがあって、矛先をエリザベス女王杯へと変えることになりました。何はともあれ、桜花賞出走が叶わなくなってから、大きな目標とするレースにマイル戦がなかった。それゆえ、マイルの距離を使う必要がなかった、ということです」