<鈴村健一>「ガンダムSEED」 シン・アスカの「難しさ」 20年経て見えたもの
鈴村さんにとって「SEED」シリーズは代表作の一つで、特別な思いがある。
「すごい作品だと20年たって改めて感じています。端的に言うと“感謝”ですね。20代で、これから声優としてどうやってこの世界で頑張っていくんだろう?という時、僕はシン・アスカというキャラクターに出会い、あの時のムーブメントを体験できたことは、とても大事な経験です。長くアニメの業界にいますが、特別なムーブメントは何でしたか?と聞かれると、『SEED』はかなり上位に入ってきます。アニメの歴史書ができたら、多分『SEED』が載る。そういう作品なんですよね。その作品に関われたことへの“感謝”です。そんな中で、シンというのはとても難しい役でした。本来はとても素直で明るかったはずなのですが、戦争に巻き込まれ、悲惨な形で家族を失い、明るい気持ちを表には出せず、戦争で自分にできることはないのか?と探し続けます。気持ちを抑えつけなければいけない部分が当時の収録はすごく大変でした」
鈴村さんが演じるシンは、2004年10月~2005年10月に放送された「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の主人公の一人として新たに登場した。当時はプレッシャーも大きかった。
「もう一つ大変だったポイントとしては『SEED DESTINY』が『SEED』の続編だったことです。プレッシャーがありました。『SEED』が大ヒットし、『SEED DESTINY』も大ヒットしますよね……という空気が、現場やファンの皆さんにもあって、注目される中で、作品に関わることが大変でした。僕は脚本家ではないので、シン・アスカがどうなっていくのかをコントロールできないけど、当時は若かったですし、キャラクターがどう見られるのかが、僕のメンタルに直接関わるところもありました。でも、それも20年たって、全部いい思い出ですし、やっぱり“感謝”の一言です。自分の中で、とても大事な作品になっています」