<鈴村健一>「ガンダムSEED」 シン・アスカの「難しさ」 20年経て見えたもの
約20年たち、鈴村さん自身の変化について聞いてみると「声であってほしいですね(笑い)」と話す。
「まずそこは大事にしなければいけないですしね。ただ、メンタル的に余裕ができたことによって生まれた弊害もあり、技巧的になりすぎてしまう可能性があるんです。20年で積み重ねてきたものがあり、それを削ぎ落とした芝居をすることが必要な時もあるのですが、人は身につけたものを捨てるのが難しいんです。当時と同じキャラクターを演じる時の難しいポイントなのですが、そこを変えないようにすることが今回の僕の大命題でした。ただ、『SEED FREEDO M』のシナリオは、シン目線だとすごく分かりやすかったんです。素直なところがあって、その場の刹那(せつな)な感情が大事で『SEED DESTINY』の時よりもその部分が強かったので、率直に演じようと心掛けました」
収録では、ムウ・ラ・フラガ役の子安武人さんに「当時のままだね」と褒めてもらえたことが、うれしかったという。
「『20年近くたって、またできるっていうことは、すごいことだよ』と褒めていただいて、めちゃくちゃ元気になりました。これまでゲームやコラボなどで、シンを演じる機会はあったけど、本編で再び演じるということで、緊張感があった中で、そういうふうに言っていただけたことが何よりうれしかったですね。でも、皆さん、変わっていないんです。すごいです。びっくりしちゃいました」
◇キラ、アスランとの共闘に感慨
「SEED FREEDOM」では、シンとキラは同じコンパスに所属し、アスランとも共闘する。
「良かったなって思います(笑い)。基本はずっと対立していましたし、シンはキラともアスランとも対立して、孤立していました。『SEED FREEDOM』で3人が共に戦うことで、一番感慨深いのはシンなんじゃないかな? 胸熱展開ですし、20年掛かったなあ……となって(笑い)。劇中では20年たっていないんですけどね。3人がここにたどり着けたのは、僕としてもうれしいです。『SEED』の時からあるメローなところも発揮されていますし、こういうの見たい!という王道を見せてくれます」