語り始めた92歳の被爆者 原爆投下から79年 封印した記憶 生き残った後ろめたさ「辛くてもいつかは伝えなければ」ウクライナ侵攻で決心
一中では、生徒たち353人もの命が奪われました。自分も行くはずだった「建物疎開」に動員され、屋外で直接閃光にさらされていました。 以来、才木さんは原爆を語ることはありませんでした。 92歳で証言者となった被爆者 才木幹夫 さん 「もう紙一重ですよね。我々2年だけが生き延びて、何かそういう生き延びているということに後ろめたさを感じるんですね。本当は原爆は忘れたかったですね。ええ。触れたくなかったですよね」 若い頃、東京でプロの声楽家として活動していた才木さん。今も毎週、コーラスグループの指導を続けています。 27歳で広島に戻ってからは開局して間もないRCCに入社しました。RCCではディレクターとして数々の音楽番組を制作。世界的指揮者、小澤征爾 さんの番組を作り、今も続く年末の音楽イベント「第九ひろしま」を立ち上げました。 原爆の記憶を封印して仕事に邁進しました。 コーラスグループのピアノ伴奏者 「優しくて穏やかで。とても優しい方」 コーラスグループのメンバー 「証言するのは悩んでいたみたいだけれど、勇気をふるってよくされたなと思います」 いつかは伝えなければー。踏み出せずにいた才木さんが証言者になろうと決めたのは、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけでした。 才木さん 「もう、これを逃してはいかんと思って、率直にありのまま話さなければいけないなと。もう絶対に戦争はやめなければいけない」 才木さん 「こんにちは」 この日は証言者になって5回目の講話です。 才木さん 「当時、どれだけむごい惨状だったのかは伝えたいと思っている。でも、それが分かるかどうかよね、あまりにも状況が違うから。まだまだリラックスして話ができないから。これからですよ」 資料の使い方やしゃべり方、どうすればより伝わるのか、才木さんは考え続けています。 証言を聞くのは大阪から修学旅行で来た中学3年生です。原爆の惨状を語ったあと、平和の大切さを訴えました。 才木さん 「世界の人は核の恐ろしさを知りません。実感しておりません。私たちは本気になってその恐ろしさを知らせていかなければならないと思うんですよ」
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