「アメリカの“元旦テロ”は、日本も無関係ではない」 今春、「警視庁公安部」に“とある部署”が新設される深い意図
それぞれの「『ジハード』を遂行せよ」とのメッセージは、「LO型テロを行え」という訴えにほかならない。 ■“引きこもり”がいきなりテロを起こすわけではない それでは、LO型テロに対処する方法はないのだろうか。 そのネーミングゆえに、このタイプのテロは、対人関係を構築するのが苦手な「孤立した人間像」がイメージされやすい。 さらに、インターネットへのアクセスによって、過激派の見解に簡単に触れられるようになったことで、「“引きこもり”がいきなり暴力に訴える」というふうに思っている人も多いだろう。
だが、その見方はステレオタイプだし、少々危険でもあるだろう。「孤立した人間」の攻撃の矛先が、「思想的、政治的、社会的、または宗教的な目的」に向かうには、むしろ社会などに対する怒りを持つ“接点”や“要因”が必要だからである。 したがって、どの個人がテロ行為を犯すことになるかを評価するには、個人の経験や性格、特性などの要因だけに基づくことはできない。そうではなく、攻撃直前の実行犯の行動に基づくべきだ、というのが近年の潮流だ。
テロを起こす人は、先駆けとして「過激化」のプロセスを経ることがわかっている。つまり、人は「いきなり暴力に訴える」のではなく、徐々にイデオロギー的な目的で暴力を肯定したり、妄想的な計画を周囲に触れ回るなどの精神状態に陥るのだ。 ほとんどのLO型テロリストは、こうした「自己過激化」のプロセスを経ることがわかってきている。 ■「LO型テロリスト」予備軍の特徴 ここで注目されるのが、テロや銃乱射事件などの計画的な暴力行為につながる「警告行動」だ。これが、LO型テロの脅威を評価するうえで重要な役割をはたす可能性があると考えられている。
具体的には、3つの「警告行動」が知られている。 1:「漏洩」…実行犯は具体的に、テロ攻撃を遂行する意図について第三者に知らせようとする 2:「執着」…極度に何らかの人物やイデオロギーに没頭したり、ターゲットに関する情報の収集を公にしたりする 3:「同一化」…ヒーローまたは戦士であるという妄想、あるいは武器や軍事装備などへの強い関心がある インターネットは間違いなく、個人を過激主義に引き込む最も大きなメディアであった。しかし同時に、テロ攻撃の前の警告行動を見つけやすくもする。事前に「予備軍」を発見するという新たな可能性も生み出している。