救急車の走行を妨害すると、「反則行為」になる?緊急車両を妨害しないための運転ポイントとは?
サイレンを鳴らしながら走る救急車に気づいたら、道を譲ることを知っている人は多いでしょう。実は救急車のような緊急車両には道を譲ることが道路交通法で義務づけられており、違反すると走行妨害として罰則の対象となることがあります。 今回は救急車の走行を妨害したときの罰則や、スムーズに道を譲るためのポイントなどについて紹介します。 ▼ガソリンスタンドで「タイヤが消耗していて交換しないと危険」と言われた! すぐに換えるべき? 交換時期の目安についても解説
救急車に道を譲るのはマナーではなく義務
赤色の警告灯をつけた救急車がサイレンを鳴らしながら走っているのに気がついたら、道を譲らなければなりません。救急車を含む緊急車両に道を譲ることはマナーではなく、運転手の義務であるからです。 道路交通法第40条では「緊急自動車の優先」について定めており、緊急自動車が接近してきたときは、車両は交差点を避けて道路の左側に寄って一時停止したり、道路の左側に寄って緊急自動車に進路を譲らなければならないとしています。 ただし、道を譲る必要があるのは救急車が警告灯をつけ、サイレンを鳴らしていたときに限ります。それ以外の場合では原則として道を譲る義務はありません。なお、緊急車両には救急車以外にも、パトカーや消防車、電気・ガスの応急作業車両などが該当します。 ◆救急車の走行を妨害したときの罰則について 救急車などの緊急車両に道を譲らず、走行を妨害したときには、道路交通法第120条により5万円以下の罰金が科されるおそれがあります。 ただし、実際には交通反則通告制度に基づき、反則金が科せられることが多いでしょう。警視庁によると緊急車妨害等違反の反則金は、普通車の場合6000円、大型車で7000円です。また、交通違反点数1点が加算されます。 期限内に反則金を納付することで、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに事件が処理されるようになります。
緊急車両を妨害しないための運転ポイント
運転中に緊急車両が近づいてくると慌ててしまう人もいるかもしれません。慌てることでかえって緊急車両を妨害したり、事故を引き起こしたりする可能性があるため注意が必要です。緊急車両を確認したら以下の4つのポイントに注意しましょう。 ◆周りの車の動きを確認する サイレンの音で緊急車両の存在に気づいても、正確な位置が分からないときは周りの車の動きがヒントになるため、慌てず確認しましょう。道路の左側に寄ったり一時停止したりしている車があれば、近くに緊急車両が来ていると考えられます。周りの車と協力しあいながら、緊急車両に道を譲りましょう。 ◆渋滞時は二車線道路の中央を空ける 緊急車両に道を譲る際は、道路の左側に車を寄せるのが原則です。しかし、特に二車線道路で渋滞しているときは多くの車両が走行しているため、左車線の車は左側、右車線の車は右側に寄せ、中央にスペースを空けるとよいでしょう。 ◆高速道路では左側車線に移動する 高速道路では、緊急車両が右側車線を通れるように車を左側車線に移動させましょう。ただし、渋滞しているときは、緊急車両がやむを得ず路肩を走行することもあります。 その際は緊急車両がスムーズに走行できるよう協力してください。状況に応じて臨機応変に対応することが大切です。 ◆慌てて急ブレーキを踏まない 緊急車両を優先する際は、周囲の安全を確保することが大前提です。緊急車両に気づいて慌てて急ブレーキを踏むと、後続車と衝突する可能性があり危険です。 スピードを落としつつ、安全な場所まで移動してから一時停止してください。安全確保を優先した上で道を譲りましょう。