50%を割った首都圏タワーマンションの契約率、もはやタワマンというだけで評価される時代ではなくなった!
■ 割安感から申し込みが殺到した「HARUMI FLAG」 もちろん価格面での割安感も大切だろう。現状はマンション価格が高くなりすぎて、平均的な会社員では、都心やその周辺に多いタワマンを簡単には買えなくなっている。そのため、やはり販売価格が最も重要だと考える人も多いだろう。周辺相場などに比べて分譲時の価格が安ければ、完成後には資産価値が上昇する可能性も高い。 その点で圧倒的な人気を集めたのが、東京五輪の選手村跡地に分譲された「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」だろう。 選手村として活用後にリニューアルして分譲することが前提だったので、東京都がデベロッパーに相場よりかなり安く土地を販売し、一説には周辺相場より数十%安い価格で販売されたと言われる。 2023年7月に発売されたタワーマンションの「HARUMI FLAG SUN VILLAGE T棟(東京都中央区/2025年10月下旬入居予定)」1期276戸は平均価格8634万円で、平均15.3倍、最高142倍で即日完売。都心近くのタワーマンションながら、1億円を切る価格帯で分譲されて大きな話題になった。 投資目的で複数の住戸に申し込む人が殺到することが予想されたため、申し込みが1人2部屋までに規制されたほどだ。
■ 郊外に目を向ければ魅力的な価格設定のタワマンもある HARUMI FLAGのように、今後、破格の価格設定で販売されるタワマンが出てくることは期待しにくいが、都心ではなく都心周辺や郊外の大きな乗換駅まで目を向ければ、ある程度の割安感があって比較的リーズナブルな価格帯で手に入るタワマンもある。 一例を挙げると、千葉市中央区の「BrilliaTower千葉(2026年12月中旬入居予定)」は、JR総武本線の千葉駅から徒歩4分で、最多価格帯は4800万円台、5900万円台で販売されている(2024年6月現在)。商業施設を併設し、免震装置も採用されるなど、前述したタワマンのプラスアルファの要素を多数持っている。 京王相模原線橋本駅から徒歩4分の「ブランズタワー橋本(神奈川県相模原市/2026年9月上旬入居予定)」も、2024年6月段階では価格未定ながら、都心のタワマンに比べるとかなり割安感のある価格設定になるのではないだろうか。 周知のように、橋本にはリニア新幹線の新駅が設置される予定で、開業すると品川駅まで10分と交通アクセスが格段に向上する。 都心のビジネス拠点まで30分もあれば通勤できるようになり、名古屋までも1時間ほどで移動できるため、ビジネスやレジャーなどさまざまな日常の利便性が高まる。リニア工事の遅れから、開業はかなり先になりそうだが、若い世代であれば長期的な視点で購入を考えてみてもいいのではないだろうか。
山下 和之