冬の朝、起きるのが辛いのはなぜ?
冬の朝、起きると頭がなかなか働かない。まるで前の晩に飲みすぎたみたいに。ちゃんと寝ているし、そんなに飲んでもいないのになあ、と思ったあなたにまず言っておこう。これは冬特有の現象なのだ。 ひとつだけはっきりしていること。それは目覚めから元気いっぱいで、ネオンカラーのウェアに身を包んだスポーツインストラクターのごとくエネルギッシュに動き回る、なんてことは季節がどうであろうとできっこない。でも、寒くなってからは朝、なかなか目が開かないし、ノロノロと起き出すことすら苦行に思える。しかも今に始まったことではなく、冬には夜がとても長く感じたり、朝からだるかったり、ちゃんと寝ているはずなのにいつも疲れていたり、起きてから数時間たたないと頭がはっきりしなかったりする。それはなぜなのか、専門家に聞いてみた。
冬だから
寒くなると至る所で起きるこの"無気力症状"の1番の原因、それは冬という季節そのものだ。人によって影響を受ける度合いは異なるが、冬は自然光が減少することで人の気分や体調に影響を及ぼす。早朝に仕事に行く人の場合、家を出る時も真っ暗、帰る時も真っ暗では気も滅入るというもの。一方で太陽光は人間の体内時計の調節も担っている。陽の光が弱い、あるいは十分に浴びなかったりするとそのリズムが乱れてしまう。「季節性うつ病に至らずとも、浴びる光の量が足りないと、多くの人がいつもよりだるいとか、眠たいと感じることがわかっています」と、睡眠専門医で認知行動療法士のフィリップ・ボーリューは言う。また、精神科医でパリのピティエ・サルペトリエール病院の睡眠病理科の医師、ヴァネッサ・スリマニによれば、浴びる光量が減ると「日中でもメラトニン(睡眠ホルモン)が少量分泌されます」とのこと。「疲れている感じがして、朝なかなか起きられないのはそのためです。それが気分や季節性うつ病にも影響します」。太陽の光自体、夏より冬の方が弱い。「夏の1日の自然光は100,000~130,000ルクスと推定されるのに対し、冬は2,000~20,000ルクスです」と、時間生物学者のクレール・ルコントは指摘した。