生前贈与で「定期預金を名義変更」しても課税対象となる?…知っておくべき贈与税の“6つの非課税枠”
定期預金の“名義変更後”の手続き……申告が必要なケース
生前贈与の場合 贈与者の定期預金の口座を解約して払い戻し、これを開設した受贈者の定期預金の口座に預け替えした場合です。 (1)その年の1月1日から12月31日までの間に生前贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円を超えた場合 受贈者は贈与税の申告書を提出しなければなりません。 (2)贈与税の基礎控除額を下回る110万円以下で生前贈与された場合 (1)受贈者が「相続や遺贈によって遺産を取得した人」で、相続開始前3年以内の贈与であれば、相続税の申告をします。その3年以内の贈与に当たらなければ贈与税・相続税いずれの申告の必要もありません。 (2)受贈者が相続人以外の人であれば、贈与税の申告をする必要はありません。 (3)一定の直系親族間で財産の価額の合計額が2,500万円以下で生前贈与された場合 受贈者が相続時精算課税選択届出書と贈与税の申告書を提出します(非課税)。 (4)夫婦間贈与の特例により2,000万円以下で生前贈与された場合 受贈者が贈与税申告書を税務署に提出します(非課税)。 (5)結婚・子育て資金の一括贈与により1,000万円以下で生前贈与された場合 受贈者が非課税申告書を金融機関等を経由して税務署に提出します(非課税)。 (6)教育資金の一括贈与により1.500万円以下で生前贈与された場合 受贈者が非課税申告書を金融機関等を経由して税務署に提出します(非課税)。 相続の場合 (1)相続人が一人であれば、相続税の対象となる遺産総額が3,600万円(基礎控除額といいます)を超える部分に相続税がかかるので、3,600万円以下であれば相続税の申告をする必要がありません。 (2)相続人が複数であれば、相続税の対象となる遺産総額が「3,000万円+相続人の数×600万円」(基礎控除額といいます)を超える部分に相続税がかかるので、基礎控除額以下であれば相続税の申告をする必要がありません。
申告期限が過ぎた場合のペナルティ
贈与税の場合 申告期限は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日まで。期限を過ぎると加算税や延滞税が課せられます。 相続税の場合 申告期限は相続開始日から10ヵ月以内。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課されます。 生前贈与は、資産の移転と相続税の節税を兼ね備えた有効な手段です。非課税枠をうまく活用することで、財産をスムーズに次世代へ引き継ぐことが可能になります。しかし、名義預金として扱われないよう、贈与契約や実際の管理方法に留意することが重要です。正しい知識を持って計画的に進めることで、安心な将来を築く一助となるでしょう。
後藤 光,円満相続ラボ
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