南出凌嘉インタビュー 結構ビビリな僕を、すごく恐ろしい死に方をする共演者たちが演技で支えてくれた『サユリ』
映画『ミスミソウ』(2018)の原作者である押切蓮介による同名漫画を映画化した『サユリ』。監督を務めるのは『ノロイ』(2005)『貞子vs伽椰子』(2016)他、数々のホラー映画を世に送り出してきた白石晃士氏。夢のマイホームを手に入れた一家を次々と襲う怪奇現象、そしてまさかの連続死。そんな不幸の連鎖を断ち切ろうと覚醒した祖母【春枝】の元、長男の【則雄】は家に巣食う霊【サユリ】と戦う準備を始めます‥‥。 ホラーだけど笑え、アクション映画の要素も持つ映画『サユリ』。今回は霊と壮絶なバトルを繰り広げる主人公【則雄】を演じた南出凌嘉さんにたっぷりとお話を伺います。 ・・・ ――ホラー作品は若手俳優の登竜門とも言いますが、目の前に実際は居ないモノに向かって叫んだり、リアクションしたりと大変だったんじゃないですか。 実はCGに関しては『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』(2016)で経験しているんです。 ――あっ、確かに!ちなみに『サユリ』での恐怖のリアクションは違いましたか。 恐怖のリアクションは確かに違いますが、僕は結構ビビリで大げさだったので『怖い』というリアクションは得意なんです(笑) 。『サユリ』に関しては基本、現場にずっと居させてもらっていました。なるべく“どういうビジュアルでどういう感じで襲ってくるのか”を想像する為に原作を読み返して、特殊メイクとかも事細かに新しく出来る度に教えてもらっていました。だから「CG完成しました」という監督への言葉が聞こえたらコソッと覗かせてもらって“怖い”と思ったりしていました(笑)。 僕は主演で真ん中の人物を演じたのですが、役割としては周りからの影響を受けて主人公が変わって、状況が変わって物語が終わるという感じですよね。今作では周りの共演者たちがホラー慣れをしているというか、共演者の方々が凄く恐ろしい死に方をされるんです。だから共演者の方たちが演技でも支えてくださったのが一番大きかったです。 ――受けの演技はどのように覚えていかれたのですか。 僕は受ける演技しか出来なくて、引っぱっていく演技がこれからの課題だと思っています。だからグイグイと引っぱっていってくれる人と共演するのが凄く楽しいんです。受けて、受けて、パッと考えて行動するという突発性みたいなものが僕にはあります。思い立ったらすぐ動いてしまうみたいな‥‥。それが素の人間性というか、相手から受けるものが大きくて、演技に影響を与えているんだと思います。 ――妻夫木(聡)さんにインタビューした時に“普通の役を演じる”って実はとても難しいと気づいたんです。突飛なキャラクターというより、地に足をつけて、日常を演じるって。 僕も日常は大事だと思っています。ベテラン俳優さんとの食事シーンが結構多いんですけど、ベテラン俳優さん達の食器の扱い方が素晴らしいんです。その日、パッと出て来たお箸やお椀を扱う時、僕は最初、お店で食べるような食べ方をしてしまったんです。でもベテラン俳優さん達を見ると凄くしっくりしていて、その食器や箸を10年以上使っていることが演技で何となくわかるんです。それらは本当に日々の積み重ねだと思います。作品を観たり、本を読んだりするだけでなく、どれだけ日々の生活を振り返って、普段の生活をいかに演技に活かせるかというのは、凄く大事なところだと思っています。ずっと芸能界にいるベテラン俳優さんは、その能力があると思っています。