南出凌嘉インタビュー 結構ビビリな僕を、すごく恐ろしい死に方をする共演者たちが演技で支えてくれた『サユリ』
――ファンタジーホラー系の映画とか好きですか。 そうですね。メジャーですけど『IT/イット “それ”が見えたら終わり』(2017)とか、考察の余地があるホラーが大好きなんです。 ――確かにあの映画は面白い。さて、今の時点でどんな役者さんになりたいですか。 俳優を本格的に志すきっかけになった生田斗真さんのような役者になりたいです。歌って、踊れるだけじゃなく、言えば何でも出来る人。殺陣も出来るし、歌えて踊れて、英語も喋れる。「え、出来るの?じゃあやってよ」「こんな一面もあるんだ、かっこいい」と常に皆に思ってもらえる。確かにファンの方も大事だし、色々な人に観てもらいたいというのもありますけど、何より、その作品に携わったことによって、作品が愛される俳優になりたいです。僕は業界や作品に貢献して、後輩に憧れられる存在になりたいです。 ――生田さんは劇団☆新感線の舞台にも立たれていますよね。南出さんは殺陣の勉強もされているんですか。 殺陣も演技でやってみたいので、殺陣のレッスンを受けています。でも運動音痴なので…今、頑張っているところです。以前、陸上部のマラソン選手の役のお話を頂いたことがあったんですが、走り方がダサくて、ペタペタペタッて感じだったので猛特訓したんです。それで何とか形になった感じでした。サッカーができる役も頂くんですが、その度にそのシーンの為の練習を何カ月もします。全然人より出来ないので“その分、頑張らないといけない”と思っています。 ――でも笑顔を忘れないというか。 僕自身は楽観的なんです(笑)。でも観ている人には「何か影があるんだよね」「悲壮感がある」と言われることが多くて。どの作品に出ても不幸に見舞われることが多くて、悲しげな演技は誉められるんです。だから僕も誇れるものとして大事にしていきたいとは思っています。更に他の演技の幅も少しずつ少しずつ増やしていけたらと。ひとつ安心できる場所は持っておいて、誇れる場所をひけらかさずに、他の場所もどんどん勉強していかないといけないという思いです。 ・・・ 私が南出凌嘉さん出演の映画で強く印象に残っているのが、映画『キングダム』(2019) の吉沢亮さん演じる漂の幼少期、『ザ・ファブル』(2019)の岡田准一さん演じるファブルの幼少期、『糸』(2020) 菅田将暉さん演じる漣の少年期、そして『夏への扉 -キミのいる世界へ- 』(2021) では山﨑賢人さん演じる宗一郎の少年期でした。こんな人気俳優たちの子供時代を立て続けに、しかも見事に演じきっているこの子は何者だ?という感覚を持ったのを覚えています。 そんな彼も現在は18歳。演技について沢山考え、もっと上手くなりたいという向上心に満ちた勉強熱心な青年に。本作では、恐怖に満ちた演技からコメディ要素の強い演技も求められた結果、とっつきやすくて応援したくなる主人公像を作り上げています。南出さんのいろんな表情も楽しめる作品、怖いけれど面白い映画『サユリ』、私の好みデシタ。
取材・文 / 伊藤さとり(映画パーソナリティ)