【更年期女性の不眠に】体温を上げて自律神経をととのえる「寝付き」をよくする2つの体操
40代、50代に入って、「寝付きが悪くなった」「睡眠が浅い気がする…」など、睡眠の悩みが急に出てきたという女性も多いのではないでしょうか。更年期の代表的な症状の1つが睡眠に関する症状です。今回は、睡眠の悩みのなかでも代表的な「寝付き」を改善してくれる簡単な体操を2つ紹介します。 〈写真〉体温を上げて自律神経をととのえる「寝付き」をよくする2つの体操 ■更年期に多い睡眠に関する悩み 先日このようなご相談をいただきました。 「寝付きが悪く困っています。また、睡眠も浅いような気がして疲れが取れません。何か寝る前にできるおすすめのケア方法があれば教えていただきたいです。」(40代・女性) 更年期をテーマに講座やセミナーを開催すると、睡眠のお悩みの声をとてもたくさんいただきます。更年期に女性ホルモンが急激に低下すると、自律神経のバランスが崩れてさまざまな症状が現れます。その代表的な症状の1つが、眠れない、寝付けない、眠っても途中で目覚めてしまうといった睡眠の症状です。そこで今回は、睡眠の質を上げたり、寝付きをよくしてくれる体操を紹介します。 ■寝付きをよくする体操 【1】肩回し体操で体温を上げる 今回は、寝付きをよくする体操を2つ紹介します。2つセットで行ってください。1つ目の体操は、肩回し体操です。 ①両手を肩の上に乗せる。 ②肘で大きな円を描くようにして、後ろから前に前回しする。10回程度回す。 ポイント:背中の上の方にある肩甲骨の周りをしっかりとほぐすような感じで、大きく回しましょう。 ③次に、肘で大きな円を描くようにして、前から後ろに後回しする。 ポイント:胸から肩にかけての筋肉をストレッチするつもりで、肘が背中から遠いところを通るように回します。繰り返すうちに、腕の付け根の三角筋がきついと感じるくらいでOKです。 ④両手を組んで頭上に伸ばす。5秒間キープする。 ⑤手をゆっくりほどいて下ろす。 この体操では、肩甲骨周りの筋肉をしっかりと動かしてほぐしました。私たちの首や背中の上部あたりには、褐色脂肪細胞という熱を作り出して体をポカポカと温めてくれる細胞が集まっています。そこを刺激することで体温を高めるのが、この体操です。 ■寝付きをよくする体操 【2】自律神経を整える呼吸でリラックス 続いて、2つ目は首を動かしながら行う呼吸法です。腹式呼吸で行うので、両手をお腹にあててお腹が膨らんだりへこんだりするのを感じながら行います。 ①両方の手をお腹に当てる。 ②鼻から息を吸ってお腹が膨らむのを感じながら、斜め上を見上げる。 ③口から息をすーっと細く長く吐き出しながら、ぐっと顎を引く。 ポイント:下を向くというよりも、二重あごになるようにグッとあごを引きましょう。首の付け根がストレッチされる感じがあればOKです。 ④②と③を5回繰り返す。 ⑤自然な呼吸に戻す。 この方法で呼吸をすると、思わずあくびが出る人もいるかもしれません。2つ目の体操では、呼吸と一緒に首を動かすことで、副交感神経というリラックスする神経を刺激しました。私たちの背骨には、脳からつながる神経の束が通っています。その神経のうち、体をリラックスさせる副交感神経の根っこが首の付け根部分に集約されています。ここを呼吸とともに動かすことで、短時間で質の高いリラックス効果を得ることができます。 ■肩回し+呼吸で毎日の入眠の準備を万全に 1つ目の体操では、肩甲骨周りをしっかり動かすことで体温を上げました。2つ目の体操では、ゆったりした呼吸で体温は少し下がります。眠くなると手足がぽかぽかしてきますが、これは体温を下げるために体が熱を逃がそうとしているからです。そして、体温が下がっていくと眠りに入ります。2つの体操を組み合わせることで、体温を調整して寝付きやすくなるのです。 また、寝る前に毎日やってみることをおすすめします。毎日、寝る前の体操を習慣にすることで、だんだんと体が「この体操をするともう寝る時間だ! 眠くなってきた…。」と認識するようになっていきます。ぜひ試してみてください。 ライター/永田京子 株式会社ウェルネスシアター代表、ちぇぶら更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ6万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
永田京子