在職老齢年金制度の見直し検討 厚労省
厚生労働省は、一定の収入がある高齢者が受け取る年金を減額する「在職老齢年金」制度について見直すことを検討しています。 現在の制度では、65歳以上で働いている人については、ひと月に受け取る賃金と年金の合計が50万円を超える場合、超えた分の半分にあたる額を厚生年金からカットします。 年金減額の基準となる額は現役世代の男性の平均月収を基準として毎年度決められ、今年度は50万円となっています。この年金減額基準が47万円だった2022年度の時点でみると、65歳以上で働きながら厚生年金を受け取っている人は約310万人で、そのうち16%にあたる、約50万人が年金減額の対象でした。寿命が延び、高齢になっても働く人が増える中、この制度が高齢者の働く意欲を低下させているのではないかとの指摘もあがっていました。 厚労省はこうしたことを踏まえ制度を見直し、年金が減額される対象者を減らすことなどを検討していて、年金部会に改正案を提出する予定です。 年金減額の基準を62万円や71万円に引き上げる案のほか、働く高齢者の年金を減額するこの制度自体を廃止する案も検討されていますが、完全に制度を廃止する場合には、今カットされている年金を支給するのに年間4500億円の財源が新たに必要となります。厚労省は来週にも年金部会を開き、この制度の見直しについて議論する方針です。