白河厚生総合病院 福島県県南に初の救急科 専任医3人、対応迅速化
白河厚生総合病院(福島県白河市)は来年1月、福島県県南地方の医療機関で初めてとなる「救急科」を新設する。常勤専任医3人を配置し、傷病者の容体をより早く的確に判断し、対応可能な患者に対処する体制を築く。治療着手までの所要時間を縮め、患者の負担減や救命率の向上を目指す。 救急医療体制の新・旧イメージは【図】の通り。茨城県医療統括監などを歴任し、同県の救急医療をけん引してきた白河市出身の安田貢医師(61)を4月から救急担当部長に迎え、体制の再構築を進めてきた。救急科は安田医師と福島医大が派遣する医師2人で構成し、1月6日から稼働する予定。 移行後は容体を見極め、対応方針を決める「初期治療」は、交通事故による外傷など外科系疾患を救急科、発熱や腹痛など内科系疾患を総合診療科で担い、容体を踏まえて専門科に引き継ぐ。院内での対応が難しい重篤な患者は従来通り、24時間態勢で受け入れている「3次救急医療機関」に搬送する。
白河厚生総合病院は入院や手術の必要な一部の患者に24時間対応する「2次救急医療機関」として、県南地方の救急医療の中核を担ってきた。ただ、域内に3次機関がなく、交通事故による重体など一刻を争う患者は陸路で最短40分程度かかる郡山、福島両市の3次機関に運ぶ必要があった。 初期治療は現状、総合診療科が担っているが、15人ほどいる在籍医師は内科系が多く、時に専門外の容体に対応しなければならないケースが発生。一般外来や入院患者の対応、訪問診療など救急以外の業務との両立も課題となっていた。 病院は救急科の開設に先立ち、白河地方広域消防本部と連携して救急車に医師が乗り、救急現場で治療を始める「ドクターカー」の実証も進めている。二つの試みを通して専門知識を持つ医師が早期、的確に患者の容体を把握する仕組みが機能すれば、容体の詳細が分からずに3次機関に運んでいた傷病者の一部に、院内で対応可能となる。県内の救急医療体制の適正化につながる効果も期待される。
日本救急医学会の訓練施設として、福島医大と連携しながら救急医の育成プログラムを担うことも可能となり、若手医師の養成力の強化に取り組む。