8月27日から世界選手権が開催! 今から知っておきたい!! 2028年ロス五輪の新種目「フラッグフットボール」ってなんだ?
■日本代表選手が語るフラッグの魅力とは? では、その世界選手権に出場する選手はどう思っているのか。まずは元アメフト選手で〝日本最高のレシーバー〟と呼ばれた現在41歳の木下典明選手に聞いた。 ――フラッグを始めようとしたきっかけは? 木下 自分は35年間アメフトをやってきて2020年にケガをして昨年引退しました。そのときにフラッグが五輪種目になるかもしれないと聞いたので、自分がこれまで培ってきた技術や経験を発揮できるのではないかと思ったんです。 スポーツをやってきた人間にとって五輪出場はひとつの大きな目標なので、今は28年のロス五輪を目指して頑張っています。 ――アメフトはタックルなどがありますが、フラッグは体に接触すると反則になります。 木下 そこは大きな違いではあるのですが、アメフトも練習中はチームメイトにケガをさせないようになるべく接触しないようにしています。ですから、それほど問題ではありません。 それよりも、フラッグはパスキャッチやボールを持って走ることに特化した競技です。そこはアメフトをやっていた人間のほうが技術がある分、有利だと思います。もし、日本を代表するような選手がアメフトをやりながらフラッグもやってくれたら、日本のレベルはかなり高くなると思います。 ――8月27日から世界選手権が始まりますが。 木下 アメフトの世界選手権は何度か出たことがあるのですが、フラッグは今年初めてです。ですから、どれくらい自分が通用するのか。日本がどれくらいのレベルにあるのかを見てきたいと思っています。個人的には自分の持ち味はスピードと敏捷性なので、スピードで相手を抜く様子を見てほしいです。 ――日本代表男子は今、世界9位ですが、世界選手権での目標は? 木下 もちろんメダルを獲りにいきます。それがロス五輪にもつながっていくと思いますから。
* * * そして、女子チームのキャプテンを務めている近江佑璃夏選手。 ――フラッグの魅力は? 近江 戦術・戦略性が一番の魅力です。毎回セットプレーから始まり、作戦タイムが設けられているので、そこでどんなプレーをするのかが面白いと思います。 日本チームには特有の作戦があって、例えば攻撃のときはボールをセットしているセンターが、ボールを投げるクオーターバックにボールをスナップ(パス)して、クオーターバックが前に走っているレシーバーに投げるというのが普通ですが、日本チームはセンターのスナップをレシーバーが受けることもあります。 そして、レシーバーがクオーターバックに投げて、クオーターバックが走って得点をするという攻撃がある。レシーバーがクオーターバックになり、相手を混乱させる作戦などを使っていきます。 また、他国のチームはパスプレーが多いのですが、日本はパスプレーにランプレーを交ぜているところも特徴です。ランがあると相手の守備陣が上がってくるので、その分、ロングパスが通りやすくなるからです。 ――近江選手自身の持ち味は? 近江 私は足の速さを生かしたスピードです。日本代表には肩の強いクオーターバックがいるので、ロングパス1本で得点するところが見どころかなと思います。 ――日本代表女子は今、世界3位ですが、世界選手権での目標は? 近江 チームとしての目標は決勝進出です。世界大会は3年ぶりで、日本も他国もメンバーがたくさん入れ替わっていますが、まずは、ここで結果を出したいと思っています。それがロス五輪で金メダルを獲るという自分の目標にもつながっていきますから。 * * * 8月27日から世界選手権が始まるロス五輪の新種目「フラッグフットボール」。これからは、この競技に注目していきたい。 写真提供/JAFA 東京ヴェルディフットボールクラブ(木下選手) クロス・ビー(近江選手) 取材・文/村上隆保