都営地下鉄大江戸線「光が丘の先」延伸計画は進んでいるのか 整備の「優先度上位路線」だが動きが見えない
■「優先度」は高いが… 大江戸線の光が丘―大泉学園町間は、東京圏の数ある新線構想の中でも比較的優先度が高い区間に位置づけられてきた。 2015年7月に東京都がまとめた交通ネットワークに関する計画では「整備について優先的に検討すべき」5路線の1つとされ、翌2016年に国の交通政策審議会がまとめた答申でも「導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」とされた。
実際に、地下に線路を通す予定の道路の用地確保や整備は進んでいる。延伸区間全体の用地確保率は2024年3月時点で約88%。道路がすでに開通している土支田地区では、将来の土支田駅(仮称)予定地が広場として整備済みだ。大泉町駅(仮称)の駅前広場予定地も東京外環自動車道の上部に確保されている。 2016年の答申では、東京圏の24の新路線プロジェクトの中で「進めるべき」とされたのは大江戸線を含めて6つ。ほかの5つはJR羽田空港アクセス線、有楽町線豊洲―住吉間、多摩都市モノレール延伸(箱根ケ崎方面と町田方面)、新空港線(蒲蒲線)矢口渡―京急蒲田間、横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野―新百合ヶ丘間だ。
このうち、JR羽田空港アクセス線と有楽町線豊洲―住吉間はすでに工事に着手。多摩都市モノレールの箱根ケ崎延伸も今年7月に軌道事業の特許を申請。新空港線も国土交通省が2025年度予算案の概算要求で整備に向けた調査・設計費用を計上した。6つのプロジェクトに入っていない南北線の品川延伸も工事が始まっている。 そんな中、大江戸線延伸も少しずつ動いてはいる。2022年度に都は初めて調査費用を計上し、2023年3月には副知事をトップとする「大江戸線延伸にかかる庁内検討プロジェクトチーム」を立ち上げた。都が2024年1月に公表した都政の長期計画「『未来の東京』戦略 version up 2024」は大江戸線の延伸について「関係者と事業化について協議・調整を進める」としている。