都営地下鉄大江戸線「光が丘の先」延伸計画は進んでいるのか 整備の「優先度上位路線」だが動きが見えない
都内の各地で進展しつつある鉄道の新路線整備。2023年からJR東日本は「羽田空港アクセス線」(仮称)の工事を進めており、2024年11月には東京メトロが有楽町線・豊洲―住吉間と南北線・白金高輪―品川間の延伸工事に着手した。 【地図と写真でわかる】大江戸線延伸計画区間・光が丘―大泉学園町間のルート図。延伸区間はどんな場所を通るのか? そんな中、以前から構想はあるものの、目立った動きが見えないのが都営地下鉄大江戸線の延伸だ。現在の終点である光が丘(練馬区)から同区内の大泉学園町を経て、JR武蔵野線の東所沢駅(埼玉県所沢市)方面へ路線を延ばす構想で、このうち光が丘―大泉学園町間は、東京圏の鉄道整備の指針となる答申などでも優先度の高い区間とされてきた。現状はどうなっているのだろうか。
■「鉄道空白地帯」解消への期待感 光が丘―大泉学園町間の想定ルートは約4kmで、都区内最大級の団地が広がる光が丘から北西へ、都が整備を進める都市計画道路「補助230号線」の地下を通す計画。駅は土支田、大泉町、大泉学園町(いずれも仮称)の3カ所を設ける予定だ。 【写真】大江戸線延伸予定区間はどんなルート? すでに用地が確保された駅前広場の予定地には早期実現を訴えるカラフルな看板が立つ 構想の歴史は長く、大江戸線が開業する前の1985年には、東京圏の鉄道整備の指針となる運輸政策審議会(当時)の答申に計画が盛り込まれている。1988年には地元練馬区や区議会、地域の町会による「延伸促進期成同盟」が設立され、延伸実現に向けた要請活動などを続けてきた。
地元が延伸を求める理由は、この地域が都区内としては不便な、最寄り駅まで1km以上離れた「鉄道空白地域」であるためだ。 大泉学園町というと、西武池袋線の大泉学園駅を思い起こす人が多いだろう。だが、同駅がある地域は「東大泉」で、大泉学園町はその北側。新駅の予定地周辺から同駅へは直線距離で約2km、バスで十数分かかる。 練馬区の推計では、大江戸線が延伸開業した場合、大泉学園町駅付近から新宿駅までの所要時間はバスと西武池袋線を乗り継ぐ現状と比べて19分短い31分、池袋駅へも12分短い30分になるとしている。区都市整備部大江戸線延伸推進課の担当者は「『大江戸線はいつ来るんだ』と、地域の方々の期待感は大きい」と語る。区は延伸によって沿線地域の人口が約2.1万人増えると試算しており、人口増加にも期待する。