「同業他社への転職は裏切り」はもう古い? 米FTC「競業避止条項」禁止がもたらす生産性向上
退職者に同業他社への就職を禁ずる条項は、社会全体の生産性向上という観点からその正当性が疑問視されている(C)theghan//stock.adobe.com
本年4月23日、米国の独占禁止当局である連邦取引委員会(以下「FTC」という)は、競合他社への転職禁止を定めた既存並びに新規の条項(non-compete clause、競業避止条項)を違法、禁止とする最終規則を公表した。 競業避止条項とは、企業が労働者に対して退職後の一定期間、同業他社への転職を制限する契約条項を言う。この条項は職業選択の自由の制限となる反面、企業の機密情報を守る必要性から、欧米でも日本でも広く用いられてきた。 FTCを3年前から率いるのは、当時32歳の史上最年少でコロンビアロースクール准教授から委員長に就任したリナ・カーン氏である。アマゾンやグーグルなど、ネット検索サービスやデジタル広告分野で大きなシェアを占めるメガテックに対して厳しい姿勢で知られる。
本文:5,600文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
近藤剛