「友好関係さらに深まる機会に」天皇陛下、ご訪英前の記者会見全文
「このように長きにわたる日英の交流の積み重ねを踏まえながら、今回の訪問では、チャールズ国王陛下御夫妻始め英国王室の方々と旧交を温めるとともに、在留邦人や日本とゆかりのある英国の方々などから、両国の交流の歩みなどについてお話を伺い、我が国と英国の人々との友好関係が更に深まる機会になればと思っております」
「また、今回視察するフランシス・クリック研究所では、日英の研究者が協力して医療・生命科学分野の研究を行っていると聞いており、がんやインフルエンザワクチンなどの最先端の研究についてお話を伺う予定です」
「さらに、今回訪問するジャパン・ハウス ロンドンは、多くの文化行事を開催するなど、文化を中心に日本の魅力を発信していると聞いており、現地の展示を見ながら、英国でどのように日本文化を発信しているかなどについて実際に見たり、お聞きしたりしたいと思っています」
「第二に、我が国と英国の若い世代の交流についてです。昭和62年以降、JETプログラムには、英国から約1万2千人が参加しているとのことで、このプログラムにより日本に派遣され、各地の学校での語学指導や、地方自治体での国際交流支援などを行った青年たちが、英国への帰国後、閣僚、下院議員、大学教授、政府職員、日本企業の社員などとして活躍していると聞いております。私自身、以前に雅子と共にJETプログラムの記念式典に出席した折に、JETプログラムに参加した方々にお会いしたことがありますが、今回、お会いする方々からも、日本での滞在の印象や両国の交流についてお聞きしたいと思っています」
「また、今回の訪問中に、Ⅴ&A子ども博物館で、日英両国の小学生と直接交流することも雅子と共に楽しみにしています」
「こうした日英の若い世代が、今後も交流を深めながら有意義な経験を積み、活躍していくことを期待しています」
「また、私が関心を寄せている『水』問題について言いますと、水の恩恵を享受しつつ、災害に対応することは、歴史を通じた人類共通の歩みでもあり、各国の水を巡る問題を知ることは、それぞれの国の社会や文化を理解することにもつながります。今回訪問する予定のテムズバリアは、1953年に発生した北海の高潮被害を教訓として建設され、1982年に完成した可動式の洪水バリアです。現地を訪問し、テムズバリアの構造や運用状況、そして、高潮被害の防止のためにどのような取組が行われてきたかなどについて理解を深めたいと考えています」