なぜ心の問題は「紙に書き出す」ことが推奨されるのか? 手帳を使うと生まれる意外なメリット
モヤモヤを感じやすい人は、手書きが向いている
紙の手帳を手に取る人々の中には、日常生活の中で漠然としたモヤモヤや生きづらさを感じている方が多いようです。デジタルツールではなく紙の手帳を選ぶ理由は、自己と向き合いたいという欲求にあるのかもしれません。その「モヤモヤ」の原因が具体的にわからなくても、紙に書き出すことで少しずつ整理され、解消されていくことがあります。 特に内向型やHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる繊細な性格を持つ人々には、紙の手帳が内省を深めるための強力なツールとして機能します。デジタルツールよりも、手書きの方がアウトプットしやすく、深い自己理解に繋がるという点でも、紙の手帳の価値は高いといえます。
メンタルが整う手帳の使い方
メンタルを整えるための手帳の使い方には、大きく2つのポイントがあります。 まず1つ目は「振り返り」を習慣にすることです。これは、ポジティブ心理学でよく知られている「スリー・グッド・シングス(3つの良いこと)」のように、その日にあった良かったことを振り返るということです。特に、つい自分を減点方式で責めてしまう人には効果的です。日々の中でできたことや良かったことに焦点を当てることで、自己肯定感を高めることができます。 2つ目は「TO BEリスト」を作ることです。これは、やるべきことを記載する「TO DOリスト」とは異なり、「自分がどうありたいか」「何を大切にしたいか」を書き出すリストです。このリストは一つでも十分です。たとえば、その日自分が何を大切にするかを1日の初めに考え、それを意識して過ごすことで、結果に振り回されることなく、心の平穏を保つことができます。 「TO BEリスト」は、手帳に手書きで記すのが理想ですが、デジタルツールやメモでも構いません。自分にとって大切なことを意識にあげることが目的なので、自分が使いやすい方法で続けることが大切です。 さらに、これらの習慣を取り入れる際に大切なのは、「スモールステップ」で始めることです。つまり、いきなり多くのことをやろうとせず、少しずつ取り組むことがポイントです。たとえば、振り返りも最初は1行書くだけでも十分です。重要なのは、書いたことによって自分がどう感じるかです。日々、小さな成功体験を積み重ねることで、徐々に脳の認知を変えていくことができます。 例えば、弊社の『pure life diary』では、1日あたりの記入時間を3分程度に設計しています。ページの枠を小さくすることで、完璧に書き込むプレッシャーを減らし、短時間で手帳を使えるようにしています。結果的に、集中力が続かなくても、無理なく日々の記録ができるようになります。 もし、これらの取り組みが一人では難しいと感じる場合は、他人の力を借りるのも一つの方法です。たとえば、職場の仲間や家族、友人と一緒に取り組むことで、モチベーションが続きやすくなります。認知行動療法でも言われているように、自己管理は非常に難しいため、周囲のサポートを得ることで環境を整えることが重要です。 (取材・執筆=PHPオンライン編集部 片平奈々子)
本橋へいすけ(pure life diary開発者/ライフコーチ)