子育てエッセイ漫画も人気だけど…SNSで子どものエピソードや顔写真を発信するのはプライバシー侵害?【弁護士が解説】
別れた恋人に交際期間中のLINEを晒された、SNSで子どものエピソードや顔写真を発信するのはダメ? 上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、SNSにおけるプライバシーの侵害について解説します。
事例1:やり取りをSNSで晒された
CASE:別れた彼女が自分への腹いせに、交際期間中のLINEのやり取りをSNSで晒しています。僕のアイコンは隠されていますが、友人たちは僕だとわかっているので、イジってきて困っています。こういうのって、なにか犯罪にならないんですか? ANSWER:特定の人だけにわかるような晒し行為が犯罪になることはほぼないでしょう。民法上のプライバシー侵害にはなるでしょうが、民事訴訟で違法性が認定されるのかは場合によりけりです。まずは元彼女にそのようなことをやめるようお願いし、それでもやめないなら弁護士から警告してもらうなどの措置をとりましょう。
事例2:子育て漫画、子どものプライバシーを侵害している?
CASE:趣味で子育て漫画を描いてSNSで発信していて、多くの支持をいただいています。子育て世代にウケそうな我が子のかわいいエピソードを描いていますが、時々顔写真も載せています。具体的な内容のほうがバズるので、今後は写真を増やしたり、失敗話も発信していこうかと考えていますが、問題はないですよね? ANSWER:将来、子どもからプライバシー侵害で訴えられる可能性はあります。子どもが未成年者の間、親権者は、子どもを監護・養育する権利・義務があります。だからといってなにをしてもいい、ということではありません。仮に子どもが「いいよ」と言っていたとしても、まだ子どもですから、さまざまなことをよく考えてそのように言ったとはかぎりません。後々友だちにからかわれたり、「そんなことは知られたくなかった」と悩むかもしれません。 子どもは親の所有物ではなく、一人の独立した人格ある人間です。親からすれば微笑ましいエピソードであっても、子どもが成長したら誰にも知られたくないことかもしれません。「SNSでバズりたいから」という理由で子どものプライバシーを侵害し、傷つけてしまうことのないよう注意が必要です。