冷水に浸して食べる?大阪・町中華の謎メニュー…定番デザート「中華ポテト」・とじない「中華カツ丼」
アナザー「ポテト」「カツ丼」を求めて『會元樓』へ
『龍』は面白かったのですがあまり詳しい情報が得られなかったので、せめて他の中華屋のカツ丼も食べてみようと、『會元樓』にも足を運びました。こちらは「カツ丼」も「中華ポテト」もある、大阪でも珍しい店。 東天満という場所にあり、どの駅からも若干歩きます。地元人向けのお店のようで、夜に1人で松花堂弁当みたいな定食とビールで飲ってるおじさんが何人かいました。盗み見すると、酢豚、唐揚げ、エビ天、シュウマイ、ご飯、サラダが詰まって宝箱かよ。これで1000円なんて、私もカツ丼よりそっちが食べたい。 店員さんに「カツ丼と大学芋と瓶ビール」とオーダーしたら「マジで?」って顔されましたが、そりゃそうでしょうね。あまり金持ってなさそうな中年女子が定食でもなく単品で2000円超えの注文。私が店員でもこの人何が目的なんだって怪しむと思います。 大学芋は『龍』と比べると柔らかめで、水にも浸さないし、箸でつついてもコンコンしません。やや小ぶりで、飴も薄めなのでカリッというよりポリッとした食感。しかしこれも中華鍋で仕上げるので、中はホクホクして甘い。差し歯が取れたりする心配なく、お年寄りにも優しい中華ポテトです。 一方のカツ丼は、大きな器に溢れんばかりのカツ&餡がのっており、ライスもなかなか重量があります。カツがデカくて厚く、衣にしっかり味が付いているので食べ応えがあります。 餡はやはり、鶏ガラベースの醤油味。モヤシ、タマネギ、長ネギがたっぷり入って野菜の旨みが際立っています。トンカツが味濃いぶん、餡があっさりめなのでちょうど良いバランスではないでしょうか。 聞くとこのカツ丼も先代のオーナーが考案したもので、そのレシピを大切に受け継いでいるのだそう。厨房から中国語しか聞こえないので話は聞けないと諦めていましたが、ホールの日本人女性が優しく対応してくださいました。しかし詳しいことは不明……。 ◆東京の‶中華屋のカツ丼″とは違うことが判明 グルメブロガーでも中華カツ丼に注目している方はいらっしゃいますが、結局、「中華カツ丼のルーツ」は解明はされていないようです。ただ一つ、東京のグルメライターから聞いて驚いたのは「東京の中華屋にもカツ丼はあるが、餡掛けはあまり見ない」という話。 東京では中華そばやオムライスがあるようないわゆる「町中華」に、正統派の卵とじスタイルのカツ丼があるとのこと。大阪の中華カツ丼とは違うんですね。 大阪の中華カツ丼はなぜ生まれたか、なぜ東京の町中華カツ丼と違うのか。謎が深まるばかり……。そのうちもっと真剣に調査して解明しようと思います。徳川埋蔵金のドキュメンタリーみたいなオチになってすみません。 取材・文・写真:猫田しげる 1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。 猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」https://nekotashigeru.site/
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