冷水に浸して食べる?大阪・町中華の謎メニュー…定番デザート「中華ポテト」・とじない「中華カツ丼」
4代目店主は『餃子の王将』で長年勤めたサラブレッド
開店は約50年前。現オーナーは4代目で、山本伊織さんというお若い方です。3代目もまだ厨房に立っており、「お父さんから息子さんに代替わりする途中ですか?」と聞くと「全くの他人です。1~4代全員、何の血の繋がりもないんです」と返ってきたからビックリしました。よく勘違いされて「息子さんですか、似てますねー」とか言われるそうですが「親子でもないし似てるわけないです」と山本さんは苦笑していました。 なんと山本さんは前職が『餃子の王将』で、頼まれて『龍』のオーナーになったそう。それが’23年6月のこと。つまり山本さん、取材時はオーナーになってからまだ4ヵ月ほどしか経っていなかったのです。 だから店の歴史は詳しく知らないそうですが、とりあえず初代のオーナーから4代目まで全員が日本人でしたが、創業時は相当本格的な中華料理を出していたとか。おそらく華僑の経営する中華料理店で働いていた人が独立したとか、そんな経緯かと。中華ポテトもその頃からあったというから、やはり中国東北地方の料理を学んだ人によるものでしょう。そういえば看板も北京料理だし。 まずは中華ポテトから。作り方を聞くと「サツマイモ揚げて飴を絡めるだけです」とのこと。確かにそうでしょうが(笑)、高温の油や中華鍋で調理するってところが家庭との違いですよね。バッツリ切ったイモをサッと油に通し、大鍋で飴を素早くジャーッと熱してイモに絡めます。飴にはイモを揚げた油を加えているのでコーティング力が高く、中の熱やホクホク感を逃さないんです。 箸で叩くと「コンコン」と音がするほど硬い。しかしバリっと噛めば中から湯気が溢れ、身(っていうのか?)は甘くホカホカ。ちなみに山本さんはクールなんですが、「551蓬莱の社員さんが旨いって言ってました」と告げると、「そうなんすか!」と若干テンション上がっていました。 ◆餡がたっぷりかかった「中華カツ丼」 そして肝心のカツ丼。これまでのカツ丼の概念を覆すビジュアル! 天津飯のように餡がたっぷりかかっています。餡は醤油、味醂、ニンニクなどで作ったタレを鶏ガラスープで割り、片栗粉でとろみをつけたもの。卵も入れますが溶き卵にして餡に加えています。もはや「とじる」なんて気はさらさらないんですね。 「中華カツ丼」は我々の知る「カツ丼」とは全く別物なのだと痛感しました。餡は和風出汁ではない鶏ガラの風味が前面に出ていて、間違いなく中華の味。薬味も、七味唐辛子よりラー油の方が合います。 カツ丼はいつからお店にあるのですか? と聞くと、「多分2代目の時から……」とのこと。正直、山本さんも他のスタッフも歴史を分かる人がいないのだそうです。「逆に知っている人がいたら教えてください」と山本さん。読者の皆様、私からもお願いします。