オリックス・山本由伸の沢村賞 文句のつけようのない内容よ。昨今、選考基準に賛否あるけどこれが真のエースの必要な要素よ【岡田彰布のそらそうよ】
沢村賞と言えば03年の井川の快投
オレの中での沢村賞の印象は03年の井川[左]の快投よ。ホンマすごかった。それに値するくらいの投球を今季のオリックス・山本はやっていたよね[写真=BBM]
日本シリーズを振り返る前に、まずは「沢村賞」について書いてみる。2021年シーズンの沢村賞にオリックスの山本由伸が選ばれた。大谷翔平がメジャーのMVPに満票で選出されたことが話題になったが、今回、もし投票制度だったら、もちろん満票やったはず。それほど突出したピッチングの内容であった。 沢村賞はやはり先発投手にとって、最高の名誉だ。過去、この賞に輝いた投手を思い出してみると、そうそうたる名前が並ぶ。例えば阪神で言うと、小山正明さん、村山実さん、バッキー(ジーン・バッキー)さん、江夏豊さん、小林繁さん、そして井川慶くんと、そこにはタイガースのエースの系譜が脈々と流れているのだ。 この中で、オレ的に印象深いのはやっぱり井川やね。監督だった2005年のエースは彼で、リーグ優勝に貢献してくれた。ただ、最もインパクトを与えたのが03年シーズンやったわ。星野(星野仙一)さんの下、18年ぶりにリーグ優勝したわけやけど、そのときの井川はまさにモードに入っていたというか、ホンマ、すごい投球を続けた。オレはそのとき、内野守備コーチで、三塁コーチに立っていたけど、ベンチから見ていて、鳥肌もんやった。 先発で29試合。それで20勝(5敗)よ。この数字もすごいけど、星野さんが最も喜んでいたのが、投球イニングの多さやった。206イニングを投げ切ったわけよ。これはベンチにとっては、ホンマ、ありがたいことやった。リリーフ投手の疲れを軽減させ、勝ち負けだけでなく、チーム全体を助けることになった。このシーズン、井川はMVP、最優秀防御率、最多勝を獲得。そして名誉ある沢村賞に輝いたのである。 まさに文句なしの受賞であったが・・・
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週刊ベースボール